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「…別に、邪魔じゃねえよ」



「…っ」





それなのに、こんな事言われたら…っ。
でも、想っちゃいけない事もあるんだ。


名前も知らないような、誰にも言えないこの“感情”を。


相手の迷惑になるくらいなら、あたしは自分の気持ちを抑える。小さな、小さなそれを奥深くに隠さなくちゃ。





「…あっ、でも、あたし、」



「…此処にいろ。約束破った罪滅ぼしだと思え、」



「…っ、…はい、」





右隣に座る棗くん。緊張して何も話せないけど、沈黙は心地の良いものだった。




《パートナーを決められた方は中央へ…》




会場からアナウンスの人の声が聞こえて、音楽が一段と大きくなった。





「…棗くん良いの?誰かと踊る約束とか、してない?」





…流石に、ラストダンスの時間にあたしが棗くんを独占するだなんて恐ろしい事する勇気は持ち合わせてない。





「…お前、相手いんのかよ」



「えっ、いないよ…」



「…なら」





────交わる視線。
あいつの漆黒の瞳から目が離せなくなる。





「俺と踊れ、」



「っ…」





────棗くんと交わった視線。
棗くんの赤い瞳から、あたしは逃れられない。





「…はいっ、」





あたしは催眠術にかかったかのように、コクリと頷いてしまった。





「…行くぞ、」





立ち上がった棗くんはあたしの手を引いた。エスコートされて、棗くんとラストダンスを踊った。


踊っている最中、真っ直ぐにあたしを見つめてくれる棗くんの瞳が離せなかった。


後夜祭の終わりを告げる花火が鳴り終わる、その時まであたし達が言葉を交わす事はなかった。





「…棗くん、ありがとう。
良い思い出になった…凄く、楽しかった…」





棗くんは何も言わなかったけど今度はちゃんと見えた。





「…凄く楽しかった、か…」





棗くんは去り際に、確かに笑ってた。





「あー、棗ー!A見なかったか?ラストダンスの時間探してもいなくてさー」




「…璃音。…あいつは譲れねえ、」




「…覚悟はしてたよ。Aと初めて会った日…
Aを見る棗の瞳を見た時にね、」




「…そうか、」




「“──────”…」




「っ!お前っ…!」




「俺、先に帰るわー!」





璃音の言葉が頭から離れなかった。
もし俺が璃音の立場だったら、絶望しか残らねえ。





…最後の最後までいろんな事があったけど




とにもかくにも本日をもって




文化(アリス)祭 全日程、無事終了です!

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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時

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