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皆、鳴海先生の国語のテストの疲れから今日の試験はこれ以上変な問題が出ないように祈るばかりだった。
2限目は岬先生の理科のテスト。理科は得意分野だから緊張が解けて気持ちが楽になれる。
「「カンニングするな」と言っても、きくお前達じゃないのは毎年のことで分かってる。子供相手にここまでしたくないが、学園の方針なので仕方ない」
岬先生は全員の机の上に小さな植木鉢に入った“サボ点”を置いていった。
「なので、今年は1人に1つこの
自らの意思で動くサボテンは、不正行為があれば即座にその腕に小さな針を大量に刺してくる…みたい。
「それと大量生産のひずみか、ちょっとそれぞれ性格に個性がある奴もでてきてな2〜3匹…
スマン…気にしないでくれ……」
「こいつ今、ウチの答えを見て笑った──っっ…!」
(((((大いに気にするわ────っ!!!)))))
あたしは自分の所にいるサボテンをジッと見つめた。
大量生産の歪みで性格に個性がある…
その言葉を頭に置いて、つんつんとサボテンを突いた。
そのサボテンは微かに身を捩って手にすり寄ってきた。
「か、かわいい…」
そう言ったのがダメだったみたい。
それを聞いたサボテンは頬を赤くして(?)、腕にしがみついて離れないから、凄くテストが受けにくかった。
本当に何匹か机の上で好き勝手に動き回った挙げ句に、人の回答を観て笑うイヤミなサボテンがいたり…と。
皆、苦労してテストに集中出来なかった。
そしてチャイムがなって理科のテストも終了。サボテンは回収される、筈なんだけど。
「ほら、あまり甘えるな!」
「…………。」
「次のテストに支障が…っ!」
「…………。」
「こら…いい加減にしろっ!」
岬先生は叱責した。あたしの腕にしがみ付くサボテンを無理やり引っ剥がしてそそくさと出て行った。
苦労してますね、先生…と心の中で岬先生に合掌した。
「サボ点のせいでウチ、ボロボロや〜。何書いても笑うんやもんー……」
「それって、どうせ全部間違ってたってことだよ」
「心読み君、トゲ痛くないのー……?」
蜜柑の理科のテストがボロボロになったのは言うまでもないね…
それと蜜柑の肩にポンと手を置く心読みくんの腕がトゲ塗れだ。見てるこっちまで痛くなりそうで腕をさする。
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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時