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《それではラストダンスのナンバーです
目当てのお相手をお探しの方は…》
「あ─っ！！いたいたー！」
「蜜柑ちゃーんっ！！」
「どこ行ってたの？遅かったね」
「すごいんだよ蛍ちゃん！｢最優秀個人賞｣を貰った人はラストダンスの相手を優先的に選ぶ権利があるとかで、さっき舞台に連れてかれちゃったんだよ！！」
《パートナーを決められた方は中央へ…》
「あれ？蜜柑ちゃん。顔赤いよ、どうしたの？」
……だって、あいつ。
いきなり真面目に人の名前、呼ぶんやもん………
ぼんやりする頭、どきどきが治らない胸の音。
話しかけてくる言葉を理解するのに時間がかかった。
《では、｢新人賞｣の初等部Ｂ組、
今井蛍さんの希望されたラストダンスのお相手は
“佐倉蜜柑”さんです！》
「え、」
突然響き渡った自分の名前に思わず声を上げて固まると隣から、くくっと聞き覚えのある笑い声が耳に届いた。
「女同士かよ」
呆れたように苦笑しながら言う璃音の言葉に、ようやく放送で名を呼ばれた意味が分かった。
「んじゃあ、俺は相手探してくるよ──。楽しみなよ、蛍様とのラストダンス」
いつもの軽い調子の口調で促された。
ひらひらと手を振って、もう既に歩んでいるその背中に満面の笑みを送った。
そのままの表情で蜜柑は、蛍の元へ駆け寄った。
璃音と同じような苦笑が会場を包む中、親友の元へ辿り着くとその笑みを深めた。
親友が小さくも微笑み返してくれた事が嬉しかった。
その頃。
蜜柑が去った後も、Aはその場から動けずにいた。
「……なに、これ」
何だろうこの気持ち。心臓が、うるさい。
蜜柑と棗くんが話してて胸が締め付けられた。
蜜柑と棗くんが仲良くなるって、すごくいい事なのに。これが、嫉妬なのかな。え、何で…？嫉妬なんか…。
「…お前、何してんだ、」
「…え、あれっ、」
目の前に眉間に皺を寄せた棗くん。いつの間にあたしの前にいたの。全然気づかなかった。
「……っ。ごめんっ、」
あたしは、棗くんの事が好き、なのかな？……“もし”、あたしが棗くんの事が好き、なら。
…棗くんに迷惑かけちゃう。だって、棗くんはあたしの事が嫌いで。多分、蜜柑の事が好き。
「あたし、邪魔だねっ、戻るね…」
これ以上考えちゃ駄目だ。蓋を、蓋をしなければ。その気持ちが成長する前に。誰かに気づかれる前に。そしてあたしの心が気づく前に。
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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます！お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります！ (2021年7月29日 15時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2021年5月20日 0時
