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噂に惑わされる事なく、言葉がなくてもその行為だけで2人がどんな人間なのか分かったから。




「あ、ありが、とう…ござ、います。え、と」



「僕は秀一、こっちは昴だよ。Aちゃん、よかったら一緒にお茶しないかい?君と話がしたい」




あの時、2人に気付いてもらえなかったら…秀一くんと昴くんに声をかけてもらわなかったら……


今のあたしはいなかったかもしれない。そう思えるほど2人には感謝してるの。




「違う、違うよ蛍ちゃん。昴くんは絶対に大切なものを忘れてるわけじゃない。蛍ちゃんが、大切なものを忘れちゃうなんて絶対にないっ」



「そや!!蛍はちがう!!」




微かに感じた不安を掬い取るように言ってくれた(名前の。目に涙を溜めて自身の考えを否定してくれた蜜柑。
2人の言葉を聞いた蛍の瞳が微かに揺れた。




「……私がアリスだと分かった日、母は大泣きしたわ。幼かった兄を、学園に渡してしまった事を、母はいつも悔やんでいたから……………」




あんな…



あんなとこだと分かってたら



絶対、あの子を行かせたりしなかった



まだ、たったの5歳だったのに………



私達の手で、まだ沢山



おしえてあげたい事があったのに………



喜び 驚き



美しいもの 慈しむ心



生きていく上で、何が一番大切な事か……



あの子はまだ何も



知らないうちに行ってしまった…………



…せめて(この子)だけは



(この子)にだけにはおしえてあげたい



いずれアリス学園に行く事は



もう、避けられないのかもしれない



でも、せめてその前に



いろんな事を感じて 触れて 学んで



心のポケットをひだまりでいっぱいにして………




そう言って、学園から逃げている間も両親は蛍に大切なことをたくさん学ばせてくれた。




「蛍っ!」




お母さん。私いっぱい、いい思い出
出来たから、もういいよ。今までありがとう。



ごめんなさい……………




時折哀しげな顔をする両親は見て、やがて決めたのだ。アリス学園に行く事を。




「証明したかったの。学園に行く事が避けられない以上逃げても結局はずるずると…両親を苦しめてしまう。

だったら学園へ行って自分に出来ること………

兄の事を───その奥にある両親を哀しませる真の原因をこの目で確かめたかった」





アリス学園に行って自分のできる事をしよう。兄に何があったのかを知って両親に伝えようと決意したのだ。

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未来(プロフ) - フリージアさん» ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。より良い作品になるよう心掛けておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年11月12日 12時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
フリージア - いつも更新楽しみにしています!誤字かな?と気になったところがあったので報告失礼します!159の「かくゆう」、 165の「見るに来るのが楽しみだった」「みんなの舞台を台無しにしなくないっ……!」「お客さんもこの舞台を楽しにして待ってる……!!」 (2020年9月20日 17時) (レス) id: f10b12f88b (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - きゃーぽんさん» 率直なコメントで励みになります!ありがとうございます。随時更新して参りますので、よろしくお願い申し上げます。 (2020年9月13日 1時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて好きっす (2020年9月5日 15時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2020年8月29日 0時

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