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キ──ンコ──ンカ──ンコ──ン…
パレードはこのチャイムを以て終了だ。
「あ、ベルなっちゃった。もうすぐ閉会式の時間だよ」
「中等部グラウンドに集合だったっけー」
「いそげー!」
走りながら屋上を出ていく委員長達に、Aも追おうと1歩踏み出そうとした。
───うおん、うおん…うおん……。
変な音が聞こえた。空耳かと思えば、蜜柑が何やら空を見上げているのに気付いてAもその視線を追った。
うよん、うよん……と鳴る音と共に突然、歪んだ空。
ぎょっとしている蜜柑に対してAは見覚えのある光景に歓喜の表情を浮かべる。
「!!?」
「あっ!あれは…!」
歪んだ空に顔が現れた。顔はゲフ〜〜…と口を開くと、ぺっと何かを吐き出して、それをべしょっと落とした。
「!?!?!!きゃ───っっ!」
「野田先生っ!」
「え?!」
「あ、あれ…ここ…現代?戻ってこれたのか…」
Aの言葉通り、落ちてきたのは野田だった。彼の姿は
かなりボロボロである。
「お帰りなさい、野田先生っ!」
「Aですか…いやー、ただいま帰りました」
やれやれと立ち上った彼に勢いよく抱き着き倒れそうにさせたのは勿論、Aであった。その後の3人は閉会式会場近くまで移動した。
Aの後に抱きついた蜜柑はまるでコアラのように野田に今までくっ付いていた。
「え、のだっち戻ってきたの!?」
「うそっ」
翼の言葉に半信半疑の特力メンバーは一斉に後ろを振り返り、目を見開いた。
「あ、本当だ!」
「「のだっち──っっ!」」
「どこ行ってたんだよー!バカ──っっ!
心配させて──っっ!」
「寂しかったんだからな──、も──!」
「まったく──っ!アリス祭全部終わってから帰ってくるなんて、ドジのだっちーっ!」
全員が彼の姿を見つけると、帰還を喜んで一目散に飛び掛かる勢いで駆け寄った。嬉しそうにしながらも段々と過熱していく遠慮のない蹴りやパンチ。
子供達なりのスキンシップと解っているからあまり強くは拒絶出来ない。なので、あれよあれよという間にボコボコにされていった。
最初は感動の再会に涙を流していた蜜柑。だが、次第に殴る蹴る音が激しさを増していくのを茫然と見つめる。
終いには、のだっち永眠…享年32歳。
でかでかと埋められて、盛り上がった土の上に十字架が突き刺さるという、何とも殺風景なものが出来上がってしまったのだ。
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未来(プロフ) - フリージアさん» ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。より良い作品になるよう心掛けておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年11月12日 12時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
フリージア - いつも更新楽しみにしています!誤字かな?と気になったところがあったので報告失礼します!159の「かくゆう」、 165の「見るに来るのが楽しみだった」「みんなの舞台を台無しにしなくないっ……!」「お客さんもこの舞台を楽しにして待ってる……!!」 (2020年9月20日 17時) (レス) id: f10b12f88b (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - きゃーぽんさん» 率直なコメントで励みになります!ありがとうございます。随時更新して参りますので、よろしくお願い申し上げます。 (2020年9月13日 1時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて好きっす (2020年9月5日 15時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2020年8月29日 0時