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「おやおや、誰かと思ったら白雪姫じゃないかい」




スポットライトが当たった反対側のサイドステージからたぬきの着ぐるみを着た女の子とその子を抱っこする女の子が出てきた。


あれ、あの女の子…
さっき璃音くんと一緒にいた子だよね…?


ウェーブのかかった長い黒髪に深い緑色のマントを着た女の子はフードを被ってるからあたしがいる所では顔が見えないけど。


流架が固まって動かない。
もしかして…やっぱりあの子、璃音くん?




「あ、あなたは……?」



「……ボク?ボクは森の妖精さ。
この森のことなら何でも知っているよ」




にこにこと、何処となく黒い笑みには見覚えがあった。璃音だ。こんな事、仕出かす奴なんて璃音しかいない。




「(やっぱり、俺の予感的中〜)」




フリーズした流架の顔は面白かった。ま、流架の反応は正しいよね──。驚かせてやろうと思って着替えてからは誰にも会わないようにしてたし。


この舞台での俺の役は、白雪姫を小人の家がある方向へ案内すること。案内っつっても、森の妖精だから素直に教えてやらないけどなー!


木に寄りかかってフードで目元を隠すと、怪しさ満点。こういう舞台系とかって向いてないんだけどなーっ




「あ、あの!この森でどこか隠れる事ができる場所は、ありませんか?」




舞台を面白くするために鳴海が急遽付け加えたもので元々は打ち切りになったシーンだから台本にない。


俺も流架もセリフは完全にカンペ頼り。そして演技演出はアドリブだ。




「どうやら逃げてきたみたいだね、白雪姫」



「そ、そうなんです!」



「ここで1つ、君に教えてあげようかな。右に行っては捕まり左に行っても捕まる。今通って来た道を戻っても捕まるのさ。さあ、どうする?」




客はこの役を俺が演っている事に気づいてないらしい。あの子誰、という声がちらほら聞こえてきた。




「この先、森の奥へ行くとどうなるの?」



「森の奥にはね、やさしい心を持ってる小人たちが住んでるよっ」



「君がどうなるかは知らないけどね?あっちだよ」





女の子は優しく声をかけて、俺はにやりと笑った。




「あ、ありがとう!ところで、あなたのお名前は?」



「さあ、ボクはただの森の妖精だからね。名乗るほどの者じゃないのさ」



「いってらっしゃい!」




女の子は白雪姫に軽く手を振った。背を向けると同時に当てられていたスポットライトが消えた。


これで俺らの姿が消えたように見えただろうな。

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未来(プロフ) - フリージアさん» ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。より良い作品になるよう心掛けておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年11月12日 12時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
フリージア - いつも更新楽しみにしています!誤字かな?と気になったところがあったので報告失礼します!159の「かくゆう」、 165の「見るに来るのが楽しみだった」「みんなの舞台を台無しにしなくないっ……!」「お客さんもこの舞台を楽しにして待ってる……!!」 (2020年9月20日 17時) (レス) id: f10b12f88b (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - きゃーぽんさん» 率直なコメントで励みになります!ありがとうございます。随時更新して参りますので、よろしくお願い申し上げます。 (2020年9月13日 1時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて好きっす (2020年9月5日 15時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2020年8月29日 0時

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