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「……ごめんねー、Aちゃん。何かとんでもない事になっちゃって…もう誰もこの流れを止められない……」
「い、いいえ…」
なんだかんだでAは更衣室へ案内された。取り敢えず衣装に着替えて衣装直しのために舞台裏に戻ってきた。
「元はといえば舞台裏に来たあたし達のせいなので…」
「なるべくセリフ、カンペ用意しとくから」
少し、どんよりとしているあたしは台本を眺めた。鳴海先生は苦笑しながら冷や汗を流してた。
「でも、きっとAちゃんなら大丈夫だよ♡」
どこから、そんな自信がでるの。何も出ないんだけど。それと先生楽しそうだね……顔が嬉しそうだもん。
「先生──、もう幕上げないと客が騒ぎ始めてますー」
「あ、はーい」
先生はプロデューサーとしてまだまだ沢山の仕事があるらしくて舞台袖に行ってしまった。
なんか、とんでもないことになっちゃった……
見に来るのを楽しみにしてた体質系のミュージカルに、まさか出演する側になるなんて思ってもみなかった。
体質系の皆の頑張りが引っ付き玉っていう、当日のハプニングで全部ダメになっていいはずがないから。
演じるからには、しっかりやらなくちゃ。皆の舞台を、台無しにしたくない…!お客さんもこの舞台を楽しみにして待ってるもん…っ!
「A」
「る、流架…っ」
うっすらと涙を浮かべて緊張と不安が隠せないAに、気を遣って声をかけた。
「(半泣き…)
そんなに…気負うことないから。
困った時は…俺がいるし、
ちゃんとみんなでフォローするから。
えっと…………一緒に頑張ろうな」
「うん…っ」
そう言ってくれた流架の優しさに触れて、徐々にAの顔に笑顔が戻って大きく頷いた。
「ルカ君とAちゃん、いい感じじゃない?」
「私も思った。ルカ君といる時のAちゃんって表情が柔らかいっていうか」
「美男美女だし、お似合いだよな」
「………」
2人の様子に体質系の初等部生徒達が、ひそひそと話に花を咲かせて盛り上がる。その2人の姿を遠くに捉えた棗はただ無言で見つめていた。
中等部や高等部の先輩達に囲まれて髪を上げられたり、化粧をさせられたりして…やっと完成した。
「…最初見た時から、貴方なら似合うって思ってたわ」
「顔が整ってると男装も似合うのね、羨ましいわ」
先輩達の声が耳に届かない程、緊張してた。どうしようあたし、上手く話せるかな。
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未来(プロフ) - フリージアさん» ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。より良い作品になるよう心掛けておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年11月12日 12時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
フリージア - いつも更新楽しみにしています!誤字かな?と気になったところがあったので報告失礼します!159の「かくゆう」、 165の「見るに来るのが楽しみだった」「みんなの舞台を台無しにしなくないっ……!」「お客さんもこの舞台を楽しにして待ってる……!!」 (2020年9月20日 17時) (レス) id: f10b12f88b (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - きゃーぽんさん» 率直なコメントで励みになります!ありがとうございます。随時更新して参りますので、よろしくお願い申し上げます。 (2020年9月13日 1時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて好きっす (2020年9月5日 15時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2020年8月29日 0時