検索窓
今日:17 hit、昨日:11 hit、合計:2,811 hit

790 ページ15

「でも……」





今の僕には、過去の弱い自分と決別し、違う自分になりきる事が必要です。





「もう、いいです」





この学園で生き抜いて、いつの日か叶えたい大きな願いのためにも。


残された温もりを引きずったままでは、僕は人形になりきることができないから……






「知らなくても、いいです」




───たった一言で、知りたかった気持ち(こと)は、わかったような気がしたから。





出会った当初、ただただ冷たい人なんだと思っていた。言葉も瞳も、とても冷たくて。心の奥底から拒絶されているのだと感じていた。


だけど少しずつ、本当に少しずつ、この人と接していくうちに、そうではないのかもしれないと、そう思えた。


だから、一度でいいから聞いてみたかった。
そして今日、やっと聞けた。





「……何かあったのか?蛍」





昴はそこでようやく、きちんと口にした。妹の名前を。思えば、確かに今まで口にしたことはなかった。蛍は、まっすぐに見つめてくる兄を見つめながら思い返す。





「───白崎さん、佐倉さん。近々あなた達の周りで、大事な人がいなくなる。たとえば…今井さん」





数日前の、全ての元凶であろうあの女が言った言葉を。押し寄せてくる不安を全て隠して、蛍は緩やかに笑みを見せた。





「……秘密です」





たった一言、これだけを兄に返してみせた。





「蛍!」





プールの外ではAと蜜柑が待っていた。どうやら傘を持ってきてくれたらしいのだが、蛍の手にはしっかりと折りたたみ傘を持っていた。


頭のいいAも、折りたたみ傘を持っているとは思ってなかったらしい。





「…しかもあんた達、その傘2本しか持ってきてないのね………」





Aと蜜柑ので2本しかない。途中雨宿りしているベア
に傘を貸してあげたかららしい。蛍は蜜柑の手から傘をひったくりながら言う。





「ちょうどよかった。折りたたみ傘、めんどくさかったの。2人とも早く入ったら?一緒に行きましょ」





傘を開いた蛍に、Aと蜜柑は走って傘に入り込んだ。真ん中を死守する蛍。Aと蜜柑は濡れないように蛍にくっつきながら寮へと歩く。





────この毎日が、ずっと当たり前のように
そこにあるものじゃないと知って、世界は昨日よりも


ずっとずっと、輝いてみえる。せつなさを帯びて。


でも、大丈夫。
誰かのたった一言が勇気をくれるように


君達が隣にいる1日1日が
抱きしめたくなるくらい、いとしい私の宝物…

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←789



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きざし(プロフ) - 以上がボードにてお送りしたメッセージです。先日は3月23日までに返信が欲しいとお伝えしましたが、退会されたということは、返信をする気自体がないと判断するしかありません。非常に残念ですが、本件をこちらでまとめた文章を公開いたしますので、ご了承ください。 (3月11日 23時) (レス) id: f90a6ee570 (このIDを非表示/違反報告)
きざし(プロフ) - まとめには『星々の輝き、祈り。【学園アリス】』と『開演ブザーは永遠に』の酷似している箇所を転記し、比較した内容を含みますので、あらかじめご了承ください。ご連絡のほどお待ちしております。 (3月11日 23時) (レス) id: f90a6ee570 (このIDを非表示/違反報告)
きざし(プロフ) - ・2024年3月8日送信 再度のご連絡失礼いたします。 恐れ入りますが、3月23日までに上記の件についてご回答をお願いいたします。 期日までに返信いただけない場合は、誠に勝手ながら「盗作被害報告」として、本件をまとめた文章を公開させていただきます。 (3月11日 23時) (レス) id: f90a6ee570 (このIDを非表示/違反報告)
きざし(プロフ) - また、恐れ入りますが、当問題が解決するまでは現在載せられている『星々の輝き、祈り。【学園アリス】』シリーズの全作品を更新・非公開・削除等はされないようにお願い申し上げます。 (3月11日 23時) (レス) id: f90a6ee570 (このIDを非表示/違反報告)
きざし(プロフ) - 「ほっしゃん-1」と、偶然では片付けられないほど内容が似ており、地の文・台詞共に、私が書いた文章を切り貼りしている印象を受けました。 お手数ではございますが、上記の件についてご説明いただけないでしょうか? (3月11日 23時) (レス) id: f90a6ee570 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:未来 | 作成日時:2024年1月10日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。