番外編 ページ49
「奇跡は必ず起こる。自分を信じて」
大好きだったお母さんの口癖。
「何があっても、ぜってー諦めんなよ」
大好きだったお父さんの口癖。
幸せだった。でも、その幸せは簡単に崩れた。ある朝、起きたらあたし宛の手紙がたった一枚、机の上にポツンと置いてあった。
２人は突然、姿を消した。幼かったあたしを１人残して遠い所に行ってしまった。それからは施設で過ごして。
お父さんとお母さんをずっとずっーと待ってた。施設を抜け出して家に行ったら、いつもお母さんとお父さんが座る椅子に座っていたのは１人のお兄さんだった。
「今日からここが君のお家だよ。
ようこそ、アリス学園へ。白崎Aちゃん」
知らないお兄さんと一緒に飛行機に乗って船に乗って、車に乗って辿り着いた場所はお母さんとお父さんの母校だった。
「ごめんね…A…さよならよ、」
「…必ず…必ず、迎えに行くからな…」
「…奇跡は、必ず起こる、よね…」
「ああ…ぜってー、諦めねー…」
「……勝手だって分かってる…杏に…Aを預けるわ…
Aをよろしくね、杏…っ…」
「茜先輩……！！」
アリス学園に入学してから１ヶ月が経った。アリスの意味も分からないまま入学。
クラスメイトの話している言葉は今まで一緒にいた友達が話している言葉とは全然違くて。
日本語と英語。
あたしには、言葉の壁は凄く重いものだった。
やっとできたお友達もニャーニャー、と可愛い声で鳴く子猫だったり。
モジャモジャゆるゆるの髪をした気の強い女の子に怒鳴られたり。意地悪な顔した男の子に髪引っ張られたり。
「ここ…やっ…」
あたし、アリス学園なんて大嫌い。心の中で呟いた声が誰かに届く事はなかった。
『
うん。分かってるよ、お父さん。
けど、けど、辛いの。誰も助けてくれないの。
『…
ねえ、お母さん。
あたしがアリス学園に来た意味ってあるのかな？
「
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
