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面会時間が終わり、要の病室からの帰り道。暁の空を見上げながら翼が明るく告げた。
「きっと、要は大丈夫だよ。
今年の冬も来年の冬も、その先ず──っとずっと」
「…あたしも、何となくそう思う」
要なら、要だからこそ今年も来年もその先もきっとベアの傍にいてくれるだろう。
「な、ベア！」
翼はそう言って、蜜柑の方ベアを預けると、Aの手を引っ張って前へと歩いていく。歩く先からは委員長達が走ってくるのが見えた。
少し心配だったけれど、ふと後ろを見たらベアが蜜柑に
身体を預けている状態だったから、安心して翼に着いていく。
「A！ベアが殴ってきいひん！」
「ベアが蜜柑のこと認めてくれたってことじゃない？」
「…そーなん？ベア？」
ベアは照れるように顔をプイっと背けた。そんなベアの様子にAと蜜柑が笑う。空を見上げるとうっすら暗くなり、星が輝き始めていた。
──この日、蜜柑に新たな友達ができた。
無口でシャイな、
最小最強のベアという名の友達が──………
──この日、Aには新たな親友ができた。
より絆を深めた、無口で恥ずかしがり屋の
最小最強のベアという名の親友が──…………
その日の夜。
あたしは窓を開けて、その場で膝立ちした。夜空を見上げて両手の指と指を組み合わせて目を閉じて祈った。
今のあたしは、どんな顔をしているんだろう。
「…要くんはきっと大丈夫。
今年の冬も、来年の冬も…ずっと…」
翼くんの言っていた言葉を、復唱する。
…大丈夫。そう言い聞かせた。
……あたしはとてもわがままで、諦めが悪いから。
可能性があったら、居ても立っても居られないの。
「…要くん。あたし、要くんがいなくなるのも、翼くん達が悲しむのも嫌……」
冬を、越そう。この先もずっと…皆と一緒に……
あるかもしれない可能性に、あたしは縋るよ。
「…こうすることできっと、きっとあたしは、あたしのアリスを…嫌いにならなくて済むから……」
あたしのエゴかもしれない。これは、要くんのためだけじゃない…あたしのためでもあるの。
手をギュッと握った。
可能性を確かめるために…アリスを使った。
───……お願い、
要くんの
１秒でも長く…在り続けますように………
閉じてた瞳を開けたら、涙が流れた。
あたしの願いと祈りを叶えるかのように星達がキラキラと輝いていた。そう思わずにはいられなかった。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
