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「こらベア…いい加減うそ寝は止めな。こんなに心のこもった治療してもらって…もう十分治ってるんだろう？」
要がベアにそう語りかけると、先ほどまでピクリともしなかったベアが本当にゆっくりとベアは起き上がった。
「！！！」
「え…」
「…。」
「フフフ。悪い子だなあ、まったく」
今まで泣いていた蜜柑は声にならない声で驚きを表している。涙が止まったAと、翼までも平然と動くベアに信じられないと言いたげな顔で見ている。
「恥ずかしかったんだよね、ベア。
初めて僕以外の人の心に触れて、どうしていいか分からなくなったんだよね…
よほど愛情のこもった治療でなきゃ、この大ケガ今みたく動くことはできないはずだもの」
ベア…ベア………
ベア…っ
ベアを抱き上げた要。ベアを見つめるその瞳は、とてもとても優しい。
「翼から聞いたよ。
君が僕のためを思って、僕に魂を返そうとしたこと…
君は僕がぬいぐるみにアリスを…魂を注いだと思ってるみたいだけど、それは違うよベア。
僕が君達に注いだのは命のカケラじゃない。僕の希望を注ぎ込んだんだよ」
──君らは僕の
「僕の代わりに君達が飛び跳ねてくれるたび、ベッドの中で僕も飛び跳ねることができた」
命の輝きそのもの。
「君達が笑う度、僕も楽しくなって」
──たとえ、僕がいなくなっても。
「そして君達が愛されることで、僕も幸せな気持ちになれる」
愛され続ける限り、君達の命は続く。
「それが僕にとって、どれだけの喜びかわかるかい？」
僕を照らす永遠の光──…
ベアを抱き締める要はとても綺麗で優しげで、二人が本当に強く思い合ってることが分かる。
涼風は優しく、だけどどこか力強くベアに語りかける要を見て、きっと要なら大丈夫だと何となくそう思った。
誰より優しい要なら、きっとあの優しい笑顔でベアの元に戻ってきてくれると。何の根拠もないけれど、何故か強くそう思えた。
ベアを腕に抱きながら、要は目を閉じる。
「A、蜜柑ちゃん。ありがとう」
…ベアの命を繋いでくれて
「ベア、君を作ってよかった…君を通してこれからも、Aや蜜柑ちゃん…いろんな人達の優しさを感じて」
僕に代わるその愛情が
「僕は必ず元気になるから…………」
「ありがとう、ベア…」
生まれてきてくれて…………
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
