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「あ、あの…助けて下さいっ！変な人らに追われてて、先生か誰かをここに…っ」
蜜柑が声をかけたのは近くを歩いていた中等部の女生徒２人だ。だけど彼女達はAと蜜柑を見て、訝しげに眉を顰める。
「ちょっとこの子達…さっき竹田くんらが話してた例の盗みのアリスの子達じゃない？」
「盗みのアリスってあれでしょ、人のアリス勝手に盗るっていう…竹田くん達に知らせてこようよ！」
人の話もろくに聞かず、去っていく女生徒をAと蜜柑は悲しそうに見つめている。
「見つけたぞ！」
「つかまえ…わ！この…」
悲しみに暮れている暇もなく追ってくる中等部生徒達。どうにか蜜柑を庇おうとした時、状況を見ていたベアが中等部生徒に掴みかかったのだ。
中等部生はベアを振り払って、ベアは木の幹に当たってしまう。その時に破れてしまったのか、ベアは動かなくなってしまった。
「ベア！」
「やべっ」
丁度その時、初等部から自分達を探してくれていた蛍や棗達がやって来てくれたらしく、中等部生はそそくさと逃走していった。
Aはお腹から綿が飛び出て動かないベアを持ち上げて心配そうに見つめた。
「…ベア…ここ、痛かったよね…っ、ベア、起きて…」
その後すぐに初等部寮に帰って、裁縫箱を出したAは
早速ベアの傷を縫い始める。Aの行動は迅速かつ的確で、ベアの傷は塞がっていった。
だが、縫い終わってもベアは動かない。寝かせたベアを見つめた。
「もしかして…ケガしたことでベアが言ってたように魂が抜けたんじゃ……」
「そんな……それじゃ初めにベアが望んでた通りになっちゃったってこと…？」
「嫌だ…そんなの嫌だよ…ベア……」
誰かの言葉に、泣きながら首を振るA。そしてこの姿のベアを要に見せなければと、部屋を出ていった。
「翼…A…蜜柑ちゃん……ベア……」
病院にて、呼吸器をつけてベッドに横たわる要は不思議
そうにA達を眺めた。
「…ベアがAと蜜柑ちゃんを、そうか……」
「要くん、ごめんなさい…ごめんなさい…ベア、」
「ごめんなさい、要先輩…」
Aは動かないベアを要の隣に寝かせ、Aと蜜柑は
涙ながらに謝っている。ある程度事情を聞き、理解した要は微笑みながら言う。
「ありがとうA、蜜柑ちゃん。ベアのために泣いてくれて…大丈夫、ベアはちゃんと生きてるよ」
要はベアの傷跡を優しく触れた。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
