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──茜先輩と柚香先輩、そして理人さん。
あなた達の残した謎を追うために、
どんな形でも…この学園に残ることを決めて
「鳴海先生っ」
沢山の子供達と出会って…笑顔を、涙を、諦めない瞳を見て…
先輩達の思いに沿う気なんて、理人さんの思いに答える気なんて、少しもなかったのに。
少しもなかったのに。
「自分以上に思える相手?」
『──そんな相手が多ければ多いほど、貴方の幸せの数もその分増えていくよ、杏樹…』
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茜先輩、何度そう呼びかけても、茜はもう振り向いてはくれなかった。
「白崎っ、さっさととれ！」
今まで事態の成り行きを見ていた神野が鳴海をガツンと殴った。加減を間違えば死ぬのではないか。
「鳴海先生を助けたいの！お願い！！
あたしに力があるなら鳴海先生を助けて！
お願い、あたしのアリス！！
ペルソナのアリスを取り除いて！！」
容赦のないその仕打ちに、鳴海は腕にしがみついて手の平に石を出現させた。漸く鳴海の腕は元通りとなった。
安心したAは鳴海に縋りついて泣いた。鳴海はAの頭を撫でながら、焦ったように神野を見ていた。
「何やら
だとすれば今回の件。私が報告しようがしまいが特に、別段、影響はないと思われる。
……こういう事は、これっきりに願いたい」
彼は冷たく聞こえる優しい言葉を告げてその場を去っていった。
「…Aちゃん？」
疲れきって眠ってしまったAの頭を優しく撫でる鳴海。
───あの日から
乾いた空っぽの心に、一滴一滴落ちる水のように
君たちの心がしみて
「Aちゃん。雨だよ。梅雨の始まりだ……」
いつの日かそれが潤いとなって
「あともうひとつ季節が過ぎたら、」
湧き出る泉となることを
「Aちゃんと蜜柑ちゃんが学園にやって来た季節が、また来るね…」
茜先輩、柚香先輩、理人さん、先生…
あなた達はそれを見越してたんだろうか……
───この日疲れ果てたあたしは、その後丸３日、目が覚めず、皆を随分心配させてしまった、と後から蜜柑に教えてもらった。
事情を知る鳴海先生は１人、何も語らずただ微笑むだけだった…………
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
