763 ページ26
「先生、報告です！捕獲にあたった第一班、玉砕のようです！！」
「え！？」
「さすがベア…」
「肩が当たって因縁つけた中等部生の被害届が…どうしましょう」
「えぇ！！？」
周囲を探している間にも副担から次々と心読みベア関連の報告が舞い込んで来る。
「…もしかしてベア、人間の体が楽しくなっちゃってるんじゃない？」
「困ったなー。魂が本体に戻る時、体が近くにないと、魂が迷子になって、魂が空の体は結構危険な状態というか…」
「ベ…ベア──っっ！！」
鳴海の言葉を聞いた蜜柑ベアは更に焦り、ベアの名前を叫び続ける。
「え──いっ！こうなったら待ち合わせ場所を決めて、みんな四方に別れてベアを探しましょ──！！」
鳴海の呼びかけに生徒達が声を揃えて散っていく。手分けして探索に当たる事になった。
蜜柑ベアが目の前で必死に心読みベアを探しているのを見て、ふと思う。
彼女自身は心読みベアがどこに行こうとあまり困らないのであるが、彼女は涙を流しながらベアを探している。
「…思うんだけどさー」
「大丈夫、私も気づいているわ。蜜柑ってば、何か錯乱して誤解しちゃってるみたいだけど………」
A達は後ろで呑気に走り回っている心読み正田チラリとを見た。
「…今、一番焦るべきは
「多分…」
「確かに……」
蛍の言葉に、流架蛍とA璃音も頷く。
「でも面白いから、しばらく教えないでおこうっと…」
「｢｢…｣｣」
端から見るとベアが自分の姿を探しているようで中々に面白い、とこんな状況でも楽しんでしまえる蛍は凄い。
A璃音は、蜜柑ベアの後ろを追いかけて行った。
「じゃ、俺はあっち探すから」
「私も」
「じゃあ、俺はあっちを」
とりあえず、このまま固まって探しても効率が悪い。
二手の方向に分かれて、心読みベアを探し始めた。
「心読みベアや〜い」
「出てこーい心読みベアー」
───誰かと誰かが入れ替わってしまう。
そこに必然性はあったのか。
入れ替わる基準はあったのか。
何故、隣にいなかったあの子と入れ替わったのか。
これは本当に偶然なのか。
「…っ、」
「(…小泉月！)」
木陰から現れた新たな人物に璃音は口を閉ざした。月の姿がそこにあったのだ。
やがて蛍も彼女の姿を視界に入れて、まっすぐに彼女を見つめている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
