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「大体…状況はのみこめました………」
鳴海や頭を押さえ込んでいる岬が状況を読み取れたのは大体、十分後くらいのことだった。教師陣は青い顔をしながら告げる。
「どうやら、テロ犯がしかけたこの｢シャッフル香｣で、匂いを嗅いだみなさんの
Aは璃音に、璃音はAに、蛍は蜜柑に。
スミレは委員長に、棗は流架に、委員長は棗に…
流架は蛍に、心読み君はスミレに。
鳴海が微妙な表情を浮かべながら、チラッと教室の扉の方へ視線を向ける。
その先には、プルプルと震えているベアが。
「何で───っっ！！
何でウチ、ベアになってんの──！？」
「あ、しゃべれるんだ──♡」
ワーと涙を流しながら叫んでいる声はしっかり蜜柑だ。鳴海はもう、現実逃避を始めている。
「大体何で、都合よく教室にベアが…！？
いつの間にいたん？！」
「ああ、私が｢ベア便｣でセントラルタウンのお取り寄せスイーツ頼んだから、多分それで…」
「蛍〰︎︎〰︎︎っっ！！何してるの、も───っっ！！」
すでに状況に対応し始めた蜜柑姿の蛍はピヨまんじゅうをもぐもぐと食べている。
その時、蛍蜜柑にポカポカと攻撃していた蜜柑ベアの体が持ち上げられた。
ベアの姿をした蜜柑に心読み君ベアの鉄拳が飛んだのは言うまでもない。
自分殴りおった、無表情が怖い、とその場の誰もがそう思った。中身が違うと、こうも違うのか。
そう、蜜柑は…ベアに。ベアは心読み君に、とそれぞれ違う人の体に人格がシャッフルされた。
「ベアが泣いてる…なんか可愛いな…」
「それを慰める璃音君と蛍ちゃんと棗君＆冷たい目線の流架君…」
「シュール…」
中身が違うと分かっていても、その姿はかなり奇抜だ。遠巻きに様子を眺めていた生徒の中に、カメラを構える生徒も数名いた。
「おい」
棗流架が睨みを利かせて鳴海を見た瞬間に、視線の先にいた生徒達がザッと後ずさる。
「この胸くそ悪い状態………いつまで我慢させる気だ」
「…棗に同意見。力尽くで特効薬のありか吐かせるか」
「君達…その姿で怒ってると、妙に耽美だね…」
冷たい視線のまま不機嫌を露わにして鳴海に声をかける流架棗と、舌打ちをしてテロ犯を睨んで絶対零度の声を出す璃音A。
「う──ん…それが当のテロ犯つかまったんだけど…
自首してきたよ、彼ら。(君達が怖くて)」
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
