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キツネ目君が呼んできたのは、出勤する途中だった鳴海と近くにいた岬。
騒動を聞きつけた他の生徒達も舞い戻って来た。
「…な、みんな、大丈夫……」
遠くで鳴海先生の声がする。とっても慌てたような声。どうしたの、鳴海先生。
「…蜜柑ちゃん！大丈夫！？」
蜜柑…？あ、そうだ…
あたし…さっき、皆と教室に入って、流架と璃音くんと話して…
「ああ、よかった…」
「しらさき── しぬな──いきろ──！」
そしたらいきなりクラッときて、体の力が抜けたんだ。自分の置かれていた状況がだんだん分かってきて、薄っすら目を開ける。
「あっ、璃音君も目が覚めた！？」
鳴海先生にそう問われて、あたしは首を傾げた。
鳴海先生、あたしは璃音君じゃないよ。そう言いかけたけど、視界に入ってきたものに絶句してしまった。
…何であたしが目の前にいるの？
あたしは目の前の自分を、ただ呆然と見つめた。
「久しぶりに学校来てみたら、ガス事故らしきものに君達が巻き込まれたって聞いて…あ、今すぐ救護の人が」
「汚い手で、ベタベタさわらないで。あと、顔近すぎ。どけて下さい」
あれ、どうなってるの…いま…蜜柑が、鳴海先生の顔を押して暴言を吐いたような。
まるで蜜柑じゃないような表情と口調と仕草と態度に、再び固まってしまった。
「佐倉…」
鳴海先生も皆も何が起きたのか分からなず、驚いたまま動かない。そんな時、第３者の声が聞こえた。
「ギャ────！！何これ、何これ！信じらんないっ！
一体、何がどうなってんのよ──っ！！
何であたしがこんな格好…っ、てか、目の前にあるこの私は一体、何──────っっ！？」
あれ、目の錯覚かな。委員長が横たわるスミレちゃんを指差して、女の子みたいな話し方をしてる。
「ギャ──！何で私がいいんちょう？！」
「と…飛田くん…？」
窓で自分の姿を確認してる、いつもの委員長ではありえない光景に、誰もが口を閉ざした。
「おい、ナル…この子達一体どうなって…様子が…」
岬先生もこの事態に頭が付いていってない。でも、逆についていっていたら凄いよね。
バコ──ンッ！！
物凄い音がして、スミレちゃん…じゃなくて、委員長が倒れた。
「ギャーギャーギャーギャーうるっせえ、揃いも揃って神経に障る」
ボールらしき物を投げつけたのは、目をつり上げている口の悪い流架だった。あたしも鳴海先生も蜜柑もキツネ目くんも思わず黙った。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
