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A達が教室へ戻ってくると、スミレの声が聞こえてきた。
「体育祭後あたりから出だしたのよねー、こういうの。新手のバカが増えて、ほんっといい迷惑だわ」
「学園テロ犯…………何やソレ…」
風紀隊に一泡吹かせてやりたいのは山々なものの、今のようなやり方では余計に締め付けが厳しくなってしまうのが本音である。
「今までは大体こういうのって棗君と璃音君が動かない限りは、みんな勝手な事しなかったもんだけど。
最近、棗君孤立きめこんでるし、璃音君も特に何も言わないから、もう野放し状態で」
放置すれば、荒れて学級崩壊状態にもなる問題だらけの初等部Ｂ組を、棗はその存在一つでまとめていたのだ。
「風紀隊の締めつけに他のみんなもストレス溜まってた
もんだから、生徒の間ではテロ犯に応援モードで、学園
側もなかなか犯人捕まえにくいみたい。
それで奴ら、ちょーし乗っちゃって。あと、体育祭でのあんた達の小泉月退治が、抑えてたみんなの反発心に火をつけたとこもあるみたいなのよね」
「え、何で？！」
「最近、風紀隊にそこまでマークされてない気がしてたけど、テロのせいだったんだ…」
Aと蜜柑からしては目をつけられない事はありがたいが。
「──まあ、そんなこんなで。仲間とはいえ、これ以上バカを野放しにしてると、こっちにまでどんなとばっちりが及ぶか、わかったもんじゃないわけよ」
悩ましげに眉間に手を乗せるスミレは、どこか清々しく見えた。
「ここは涙をのんで、狩るわよ」
「ちょ…パーマっっ！蛍っっ！仲間売りとばす気か？！」
テロ犯を捕まえたら、報酬に金一封や優等生ポイントが貰えるとか、そんな内容の張り紙があったような。
バカ狩りと称してテロ犯を捕まえに行く蛍やスミレを、Aと璃音は苦笑いで眺めていた。
「A、璃音。次、移動教室だよ」
「あ、そうだった！あたし、今回の班リーダーだっ」
「…え、そうだっけ？」
教科書を持った流架が目の前で立ち止まっていた。自分の席へ行き、教科書を取り出す。
背後からはテロ犯を狩る気満々の蛍とスミレ。そして、そんな２人を必死に止める蜜柑の声。
今、教室内にいるのはお馴染みのメンバーで、他の生徒達は、もう教室を移動していた様だった。
「え」
「え、」
「！」
「｢｢｢｢ぇえぇ…｣｣｣｣」
扉に向かおうとした、そんな時だった。アロマのような香りがして、煙のような何かが周りを包んだ。
一気に気が遠くなり、その場にいる全員が気を失った。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
