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「
何故、月が幼少の頃と変わらない姿で学園にいるのか。柚香には謎で堪らなかった。小さく呟いた台詞は志貴の耳にも届いており、淡々と彼女の問いに答える。
「彼女が送り込まれた目的までは今の所、茜も詩も把握していない。
ここの所、学園でいくつか起きた騒動のせいで君の娘の佐倉蜜柑と茜の娘の白崎Aがターゲットであるという事以外。
月のアリスは
一つは少々の
初等部校長が何を考え、月を蜜柑とAの元に送り込んだのか分からない以上、判断のしようがない。
「ただ純粋に蜜柑やAが邪魔なだけなら操る方だったとしても、あの学園が初等部の二生徒のために
そうなれば、必然的にもう一つの、蜜柑とAを危険に晒す方向へと話は進んでいく。
「柚香、君と茜を、あの校長はまた学園に誘き寄せようとしているんじゃないか…」
あの日、茜と協力して校長にしたことをリセットさせるために。あの校長ならば手段は選ばないだろう。
自分達を試すためにこの先、あの２人への非道な行為をどこまでエスカレートさせていくか。それを考えただけでも恐ろしい。
「それからこれは理人先輩のことなんだが──…」
柚香は志貴に手渡された茜からの手紙に目を通す。続け様に言われた志貴のその言葉を聞き、柚香は思わず手に持っていた手紙を地に落としてしまった。
───“柚香、あいつは諦めてないわ。
私達を学園に、自分の元に引きずり込もうとしている。
私のせいであの子を、Aの人生を滅茶苦茶にするわけにはいかないから。
罠だと分かっていても、私は学園に行くわ。
理人を殺したあいつを、私は絶対に許さない。
あの頃は守る事もそばにいる事もできなかったけれど、
今度こそAのそばにいて守るわ。
この命にかえてでも、守ってみせるわ。
私はもうあんな思いも、後悔もしたくないから。
ごめんね、柚香…”
蜜柑…っ、茜…っ！
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
