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翌日、登校して来てから座ったまま動かなくなって未だボーっとしている蜜柑を心配して、流架が声をかけた。
「佐倉、体質系代表と顔見知りだったんだね」
「え、そうか…体育祭前、Aと一緒に会長に会った事は誰にも言ってなかったんやった…あ、」
蜜柑はパッと反応した後に流架を凝視して、思考は一旦停止、その数十秒後にいきなり立ち上がった。
「え───っ、ここどこ？！いつの間に教室！？てか、セントラルタウンにいたような…えっ、もう次の日！？うそ───っっ！！」
「前にもあったな、こういうの…」
「ここまでボーっとされると…今の
昨日のセントラルタウンからの記憶が今の今に繋がっているという、まさかの事態だった。
蜜柑のあまりのボケ様に思わず彼女を凝視してしまったAと流架。今の蜜柑ならば、簡単に詐欺に遭いそうで怖い。
両手に偽借用書を持ちながら、蛍は溜息を吐く。
「どうせ同じアリスの、あの
「………」
蜜柑の考えている事はすぐに分かった。だって、盗みのアリスって… あの人と…柚香さんと同じアリス…
そうだ、そうだよ、柚香さんと蜜柑は家族だから…
親子だから……でも、蜜柑はこのことを知らないんだ。
「…、」
蛍の目が蜜柑を捉えた。そして無言でいるAを捉えていたのは間違いないだろう。
「盗みのアリスにいい印象がないのは分かるけどそんなことでグタグタ悩んで、バッカみたい」
表情筋を一つも動かさず大声で言い切った蛍を、Aはただ見つめているだけだ。口を挟めば何か余計なことを言ってしまいそうで怖かったからだ。
流架はAと蜜柑を交互に眺め、そっとAの背を擦った。
「自分と同じアリスの誰かがそのアリスで悪いことしたら、自分の持ってるアリスまで悪くなっちゃうわけ？
…ほんと、子供ね」
「………蛍さん、言っとくけど…ここ、初等部」
「ああ、子供だわ…そういえば」
Aと流架、蜜柑がなんとも言えない顔を浮かべる傍らで、璃音は代表してここは初等部だと述べた。
「え…っと…蛍？」
「ナルホド…そうだったそうだった…」
手の平に拳をポンっと乗せる蛍は冷静で、そうだったと繰り返して呟きながら移動して行く。
「このアリスのこと、先生とかに報告した方がいいんかなぁ、やっぱ」
廊下を歩いている時に、ふと蜜柑が声を出した。
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
