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「まだ…そんな憶測の話…」
「Aちゃんと蜜柑ちゃんの“盗みのアリス”だって、まだ憶測さ」
「おいナル…」
「アハハ、ごめんね岬先生。心配かけてー」
いつものように軽い笑みを浮かべる鳴海。だが、岬にはそれが何だかとても重く見えて、何も言葉を返すことができなかった。
ごめんね……
心配しないで。何があろうと君は絶対、僕が守るから。
何にかえても……
「わ──、もう夕暮れになっちゃったねー。学校出るのちょっと遅かったかな…」
バスから降りて第一声が委員長の心配そうな声だった。セントラルタウンに着いた頃には、もうすっかり夕陽が昇っていた。
「急いで買い物して帰らなきゃね〜！！」
「大丈夫だよ。夏も近くなって日も延びたし」
「わーい、いこいこー」
鳴海の見舞品の買い出しなどで各々がセントラルタウンに駆けていった。そんな中で蜜柑は１人、珍しく呆けていた。
「………」
空を眺めてぼーっとしている蜜柑に、Aは思わず声をかけるのを止めた。流架や蛍、璃音も気遣うように蜜柑を見つめている。
「佐倉、何か悩んでる？」
「え、ルカぴょん………っ」
流架からの質問に漸く蜜柑はこちらを見た。
「えっ、いやいや、別にウチは…」
今まで自分が見つめられていたことにも気づかなかったようで、蜜柑はあたふたと首を振っている。
そんな様子を見て、今度は蛍が声をかけた。
「騎馬戦の時、手に持ってた自分のじゃないアリス
「え、」
近くの屋台から買ったサトイモジュースを口にしながら蛍がそう言えば、肯定するように蜜柑は声を上げた。
「まあ、心を読んでもらうまでもなく、大体分かるけど…」
蛍の言葉にAはポケットに手を突っ込んだ。そこには赤紫のアリスストーンがある。言わずもがな、あの日のアリスストーンである。
ポケットの中でそれをそっと触れるとポケットから手を出して、Aは蜜柑を眺め続ける。
「とりあえず、座りながら話を聞くわ」
町並みが見える所にある２つベンチに、A達５人は腰掛けた。
「 ｢あの時…うちがやってしまったことって、あれはもしかして…無効化とはまた違う、ウチの中にある何かのアリスの仕業やったんやろうか…｣…って、そんなとこでしょ」
「(当たり──っっ！！も──、いやっっ！！)」
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作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
