752 ページ15
「だとすればこう考えれば辻褄が合う。公表されてないだけで…もしかして柚香先輩の盗みのアリスは表裏一体の能力、茜先輩はもう一つのアリスの能力なんじゃないか」
岬はゴクリと唾を飲み込んだ。憶測の話だが妙に辻褄が合っていて、まるでそれが憶測の話ではないかのように聞こえる事が堪らなく不思議だった。
「どんな能力をも石にして盗み出せる
だとすれば彼女達はあの日、校長から奪ったのではなく逆に初等部校長の中に“何か”のアリスを入れて、それで恨まれて執拗に追い回されているという事になる。
「それに理人先輩の“巻き戻し”のアリス。あれは過去へ巻き戻って未来を変えることができる
「…ああ、本人からそう聞いたからな」
「もし、それが人間自体を巻き戻すことができるアリス
だとしたら？
年齢もアリスの寿命も、何もかも巻き戻すことができるものだとしたら…
それに音のアリスは無限の可能性を秘めている……」
もし、そんなアリスが本当に存在するならば、嫌な予感がする。
“音”のアリスは声に出した事が現実になってしまう
茜が願って音に出した場合、柚香と同じ能力を作り出す事だって出来るかもしれない。
それは、茜の娘であり同じアリスを持つAが“盗みのアリス”を生み出す可能性を秘めているということ。
「校長はその入れられたアリスを取り除くために盗みのアリスを必要として柚香先輩と茜先輩を追い続け、理人先輩を死に追い詰めたんだとしたら…」
鳴海は掛け布団をギュッと握り締めた。胸の中に渦巻きだした不安を吐き出すように、深い溜息を吐くと口から勝手に出ていった。
「その望みが達成された時、
自分のことを杏樹、杏と呼んでいた彼を思い出す鳴海。彼、理人は殺されてしまった。初等部校長の汚い思惑に
よって。
その事を考えたら校長の目的が達成されてしまった後、A達がどうなるのかは簡単に想像がつく。
自分はそうならないためにも行動しなければならない。例え、命が尽きたとしても。
「岬先生。僕はそう簡単に、彼女達にこの腕の毒を取り出してもらうわけにはいかないんだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未来 | 作成日時：2023年11月1日 20時
