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母親の温和そうな顔立ちが、星野とよく似ていた。父親の髪は、ほぼ星野と同じ色をしている。
母親の顔色はあまり良くなく、足取りもふらふらと覚束ない。
「容態が急変すれば、すぐに病院に戻っていただきますよ。走らないで下さいっ」」
車から正門まで、たった数メートル歩いただけとは思えない程、息を切らしている。
看護師に付き添われ、父親に支えられながら、門へ駆け寄って鉄格子を掴んだ母親。
「保志雄…っ……………っ」
長い間を空けて声を絞り出すように、子供の名前をまた呼んで、続ける。
身体ごと門へと振り向いている星野の肩が震えることが見て取れた。
「おかえり……っ」
門にしがみつきながら、星野の両親は涙を流している。その言葉に星野は、ほろほろと涙を流しながら微笑む。
おかえり、保志雄。
おかえり………
それと同時に雨が降り出す直前の色をしていた暗い空が一気に晴れ渡った。
「ねぇ、見て…空っ！！」
雲は瞬く間に消え去り、誰かが指さした空には、大きな雲のクッションと今まで見たことないほど、巨大で綺麗な虹が描かれていた。
澄み渡った青い空、鮮やかな虹。
──虹は、“幸せ”。
「わあ…っ」
「すげー！」
「大っきーい！」
「すごいきれい〜！」
「わ───！」
虹はあまりに大きくて、目に焼きつけるのが精一杯で…
みんな、ありがとう。
ありがとう…
門をくぐって外へ出た星野は母親と手を繋ぎ、腕に縋りながら、笑顔で手を振って学園を去っていった。
アリス石を大切に持ち続け、アリスであった自分を学園にいた自分をなぞるために石を残したのではなく、この場で全て使い果たした。
家族に会えた自分が幸せだと、言葉以上に語るために。
悲しくて寂しいはずのお別れをそれだけのものにしないために。
……本当に、優しい。最後まで、ずっと。
星野も、彼を乗せた車も完全に見えなくなってからも、皆で正門に留まって空を見上げていた。
空に浮かんだ虹は家族と会えた星野の気持ちを、幸せをそのまま表している。あまりにも大きくて幸せそうだ。
ほっしゃんが最後に残してくれた大きい虹は
その日の午後には消えてしまいました。
でも、大丈夫。
君の見せてくれた幸せの虹
今も、この先も、みんなの心の中に
変わらずに、きえない輝きで残り続けるよ
いつまでも………
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます！完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました！これからも楽しみにしているので頑張ってください！ (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2023年7月24日 10時
