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「とにかく、お前らまで風紀隊に捕まったらどーすんだよ。2人の件はとにかく俺や殿にまかせて、お前らはもう余計な動きすんじゃねーぞ」
「ち…」
流架と舌打ちする蛍は最後まで渋ったが、大人しく来た道を引き返す。
「いーなー、帰るだぞーちゃんと!」
だが、棗は違った。話があると翼を引き止めた。そして璃音も聞きたい事があるらしく、この場に残っていた。
「………」
蜜柑、A…2人に何かあったのは明白。何よりAのあの顔。風紀隊に手を取られた時に一瞬、目が合った。
あの顔は、大切な物を守るために決意をした顔。A、あなた…何を考えてるの。私には話せない事なの?
私は、蜜柑やAを助けるために何をしたら良いの。
どうしたら2人を助けられるの。
翼先輩と棗君、そして璃音君。あの3人の最近の行動の理由が知れる絶好の機会。
「「………」」
それらが気になった蛍達は教室に戻るふりをして草陰に入り、メカを使って盗み聞きを決行した次第だ。
「今井…」
「何?」
「こんなのぞきみたいなマネやめた方が………」
「何で?」
「だって棗に悪いし…」
「どうして?」
「どうしてって…どうしてだろう…」
寧ろなんで平気なんだと問いたくなるほど不思議そうな顔をする蛍に、流架が迷ってしまう。
返答に困っていると、正面から微かに聞こえてきた会話に口を噤む。耳を澄ませると棗の声が聞こえてきた。
「……いいのかよ、お前それで」
「ん?」
「てめーだって迂闊に動けば、Aにあの事知られかねないんじゃねーのか」
棗がそう告げると、翼は顔を逸らした。
最近良く夢を見ると言っていたAの言葉を何故か今、思い出してしまった。
“蛍…蜜柑には言ってないんだけど。
夢を見るの…翼くんが、危険能力系へ行っちゃう夢…”
「お前が危険能力系へ移った事。まだ、あいつ知らねーんだろ」
流架も蛍も、棗のその言葉に驚きを隠せなかった。
「まあ、あいつは今、あの転入生の件で今んとこそれに気づく気配はねーけど」
「その辺は特力の奴らにも口裏合わせるよう頼んであるし。危力系に移動っつっても、まだ俺は表向き特力の方にも籍残ってる状態だし、心配ねぇーよ。
Aがこの事知れば、間違いなく、自分達のせいで俺がワリくったと思い込むだろうし。お前らから聞いた今の状態のAを、これ以上凹ますようなヘマはしねーよ」
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます!完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしているので頑張ってください! (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年7月24日 10時