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「神野先生!まだ佐倉の意見を聞きもしないで…」
「何も答えようとしないのが、こいつの答えだろう」
さすがに岬先生も驚いた様子で神野先生に詰め寄るが、神野先生は聞き入れる事はなく背を向けて歩き出して、風紀隊が蜜柑に駆け寄る。
「──“だまる”こと、“でしゃばらない”こと……」
ああ、あの時、小泉さんが言ったのはこういう事だったんだ。今、漸く理解できた。
「何で蜜柑ちゃんとAちゃん、何も言おうとしないのー?」
「まさか本当なの?」
「今回の騒動や今までの小泉さんとのゴタゴタ、蜜柑ちゃんが…?」
周りからそんな声が上がってきて、蜜柑が悪く見られるのが堪らなく嫌だった。
「賢いから分かるわよね?私の言いたいこと…」
「…っ……待って下さい!!」
風紀隊の人は蜜柑の腕を掴もうとした時、あたしは声を上げた。この場を離れようとした神野先生も止まって、振り返った。
「神野先生、あたしが、あたしがやったんです!2人をそそのかしたのは、あたしです」
小泉さんの本当の目的は蜜柑じゃない、…あたしだ。
「蜜柑は関係ありません、全部あたしがやりました」
「A!?何で、何でそないなこと…」
「…本当か、白崎」
「…はい」
「Aがそんなことするわけないやろ!?」
蜜柑は掴みかかる勢いだったけど、あたしは何も言わなかった。神野先生はあたし達を見て溜息を吐きながら、最悪の結論を下した。
「佐倉蜜柑と白崎A、2人を連れて行け」
「……!?待って、待って神野先生!蜜柑は関係ない!本当に関係ないの!」
あたしはその言葉に激しく抵抗した。
どんなに叫んでも暴れても、神野先生には何を言っても聞き入れてもらえなかった。
神野先生にはあたし達がお互いに共犯で庇い合っているように見えたのだろうか。振り返った体を元に戻して、足早に去ってしまった。
抵抗しない蜜柑は腕を掴まれて、あたしは肩を掴まれて風紀隊に半ば引きずられるようにして連れていかれた。
視界の隅で、満足そうに微笑んでいる小泉さんが見えた。
「今井さん、風紀隊の目がそれてる内に教室へ戻った方がいい。早く…、!!」
促すように鳴海が手を出した瞬間、蛍は目にも止まらぬ早さで彼の手を払った。
「蛍…」
その蛍の表情は触るな、とでも言いたげなほどに鳴海を拒絶していた。
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます!完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしているので頑張ってください! (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年7月24日 10時