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「そうだよね、皆がいてくれるだもん、へこんでいられないよね…っ……あっ、学園祭の時みたいに美咲ちゃんや特力の皆、明良くんも一緒だもんっ」
「そーや、そーやった！先輩らもおるんやあ」
初等部には特力生が少ないから、こういう場面だと他のクラスと見比べて少しばかり心細くなったりもするが、体育祭では皆と一緒だ。
嬉しそうに笑いながら大粒の涙を溢れさせているAと蜜柑は、泣き笑いのお手本みたいだ。
暫くその顔のままでいたが、泣き笑いが徐々に気まずげなものへと変わる。
ぷらんと宙に浮きっぱなしの自分の足に、さも居心地悪そうに陽一へ振り返ったA。
「…あの、陽一くん？あたし、もう元気になったから、それに危ないから、そろそろ降ろしてくれる？」
「んー……」
聞こえているのか、いないのか。その声を無視して陽一はさらに高く持ちあげる。
いくら身体が大きくなったとはいえ、中身は３歳、いや４歳児。下手に暴れるわけにもいかず、体はカチコチに固まる。
「……ねえちゃ、ちいさい」
「陽一くんが大きくなってるんだよ……！」
ほのかに可愛げの残る整った顔をぐっと近づけられる。距離感や仕草は年相応で、そのままだ。
高い高いをされて顔が熱くなる。今頃になって、周りの
注目を集めていることに気づいた。少し笑われている気すらする。
「……たのし？」
「た、たのしっ、たのしいから、降ろして…！」
こくこく頷くと、どこか満足そうな顔をして、ようやく地面に足が着いた。
陽一は高い高いをやってもらうことが好きだから、Aにもやってくれたのだろう。
「フン、やっとエンジンかかったみたいね。あの甘えたバカと泣き虫が。
さ、こっちもこっちでがんばりましょう！」
遠目からその様子を見ている白組の皆も、微笑ましくA達を見つめた。棗もAの事をずっと黙って見つめていた。
ただ一人、月だけは何か企むように怪しく口角を上げてA達を見つめていた。
そして、漸く体育祭に向けての練習が始まった。
「それにしても最悪だわ、あの転入生と同じチームだなんて」
「スミレちゃん……聞こえるよ」
「いーわよ、別にきこえたって！大体変よ、あの転入生。転入初日から棗君に色目つかうわ、棗君はそれに逆らってくれないし〜」
大きい声でそう言い放つスミレに、野乃子は小さい声で宥めた。スミレは男子達に囲まれている月を睨みながら続ける。
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます！完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました！これからも楽しみにしているので頑張ってください！ (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2023年7月24日 10時
