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「…なあA。棗こっち見てるよ？」
「…な、なんの事でしょう、かぁ……」
鳴海によってパートナー解消宣言をされて以来、Aと棗は妙にギクシャクというか、ほとんど言葉を交わしていない。
気まずさから今のようにAが棗君を避けている。鈍い蜜柑でもそれには気付いていた。
「バラバラなのは、寂しいよね……」
「Aちゃん…」
席が隣同士ではなくなったから、パートナーではなくなったから。理由はいくつか考えつく。その中でも、棗が白組を選んだ事が１番の要因なんだろう。
「なんでもない、なんでもないよ…本当に………」
呪文のように呟いたAは、とても体育祭を楽しむ様子
には見えない。
学園祭では一生懸命盛りあげていたのに、今回は全くの正反対だ。
なんだかんだ一緒に行動することの多かったメンバーの大半が白組へと行ってしまったのだから、蜜柑のようにAも内心、落ち込んでいるであろう。
それでもせっかくの、年に一度の体育祭だ。初めて一緒に参加する体育祭だからこそ、沢山楽しんでほしい。
「…A、」
「璃音くん…」
「棗にも何か考えがある…俺も詳しくは分からない。
けど…棗の事を信じれるのは俺達だけだろ？」
「…っ、うん、棗を信じてみる！ありがとう璃音くん」
棗があたしのいるチームを選んでくれなくて、憂鬱の中で始まった体育祭の予行練習だったけど。
璃音くんのおかげで、何とか練習に集中できそう。そう思った時、身体が持ち上げられた。
「うひゃ……っ、よ、陽一くん…っ！」
「ねえちゃ…がんばりょ…」
「陽一くん…ありがとう、大丈夫だよ」
座っていたあたしの腰あたりを掴んで、ゆっくりと立たせてくれたのは大きくなった陽一くんだった。
「ほれ、蜜柑は立って」
「大丈夫だよAちゃん、蜜柑ちゃん」
同じ紅組の委員長が目を柔らかに細める。
「今はどうしても敵味方に見えちゃうけど、みんなそれだけやる気になってるってだけで。
精一杯ぶつかりあって、お互い正々堂々がんばれば、きっと敵味方関係なく、楽しい体育祭になるよ」
見るからに沈んでいた蜜柑の顔が、徐々に明るさを取り戻していく。
さすが、周りをよく見ている委員長だ。落ちこんでいた蜜柑を優しく元気づけてくれた。
「Aちゃんと蜜柑ちゃんには僕らもついてるし、一緒に頑張ろう」
「委員長…っ」
「いいんちょう………」
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます！完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました！これからも楽しみにしているので頑張ってください！ (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2023年7月24日 10時
