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一緒に座ろ♡棗君
「は──い、皆さん。体育祭の組み分けやエントリーを決めたいのですがー?もしもーし」
棗の行動に、生徒達が驚きを隠せずにいる中で、鳴海が静かにするように声をかけた。生徒達が席に着いても、落ち着くまでには時間はかかった。
「昴、日向棗が気がついたみたいだよ」
高等部の廊下にて、アリスで初等部B組の様子を伺っていた秀一は隣にいた昴に声をかけた。
昴は一度、秀一を視界に入れた後に当然だと言いたげに鼻を鳴らす。
「そりゃ気付いてもらわないと困る。今回の件、俺達が
「……そうだね。でもあともう1人。今回の事に気付いて、彼女を守ろうとしてる者がいるみたいだけど……」
初等部にて、今は体育祭のチーム決めの真っ最中。A組B組合同のホームルームなので、陽一がいることは何らおかしなことではない。
だが、彼の様子は明らかにいつもと違っていた。
「いだだだだ、何!?何するの、陽一くんっ」
「あ──…」
「授業中に寝るなって?寝てないよ、ちょっとボケっとしてただけで…」
陽一はAから離れようとしないのである。先程から首や背中に纏わりつく彼と話しながら黒板を見る。
「春の体育祭は紅白に分かれて点を競い合います。能力別クラスの人数比率からいって、毎年こういう組み分けになっちゃいます♡」
黒板には、赤組は潜在能力系と特別能力系、白組は技術系と技術系と書いてあり、説明を始める鳴海。
そして、危険能力系だけがどちらかのチームに振り分けられる。
そんな鳴海の説明を聞きもしないで、蛍や流架達と同じチームになれない事を知った蜜柑は、とても残念そうにしていた。
「んで毎年悩む危力系の振り分けですが……」
「日向君。私、体質系なの。来てくれるよね?白組」
「え、そうなの?」
「そうなの」
鳴海も振り分けをどうしようか悩んでいると、ニコニコと笑いながら棗へと声をかけた月。
「…な、棗…」
月の声を追いかけて、Aも声を発す。強張りと戸惑いを一緒に煮詰めた顔をしていた。
「あの、赤組に来て欲しい、…棗と同じが良い、」
手をぎゅっと握って、声を振り絞る。それでも、声はか弱いものだった。一瞬目が合った後、棗は踵を返した。彼は、彼女を選ばなかった。
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます!完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしているので頑張ってください! (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年7月24日 10時