番外編 ー03ー ページ11
小指をあたしの小指に絡めてきた棗。
「…目、つむれ」
棗の言葉に、ゆっくりと目を閉じた。目を閉じて感じたのは優しくて温かい温もりだった。
唇に感じた温もりに、どうしようもなく胸が高鳴った。
繋いだ小指を忘れはしないでと
透き通るこの月に祈るの
「今日は俺が住んでた地域に言い伝えられている話でもしよーかなー」
「昔話?メッチャ聞きたい!」
「どんな話なの?」
「昔、そこにはお姫様と王子様が住んでいたんだって。2人は結婚する予定だったんだ」
「結婚…ウチも結婚したい!」
「…まだまだ先の話よ」
「それでも2人は引き裂かれてしまった。そんな2人が再び生まれ変わって出逢えるのは…」
「いつ、いつ出会えるん?」
「…それは、2人が離れてからちょうど300年後だって言い伝えられているんだよねー」
「え──!それっていつなん!?なあ蛍、分かる?」
「アホな蜜柑には一生分からない話よ」
何十年、何百年、何千年と経とうと
私は貴方を選ぶだろう。
貴方がいいの。貴方と一緒がいいの。
貴方の声が好き。貴方の手が好き。貴方の笑顔が好き。
貴方の温もりが好き。貴方とする口ずけが好き。
貴方のすべてが好きだから
苦しい時も、悲しい時も、楽しい時も
ずっと一緒がいいの。
ただ待つなんて私の柄じゃないから
愛しい貴方を探しにいくの。
貴方が私を見つけてくれるって信じているから
貴方の元へ駆け出していくから
優しく抱きとめてね。
何でもその言い伝え通りだと、2人が巡り逢う日には、透き通るような月が出ているとか。
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※使用させて頂きました楽曲「月恋歌/熊谷育美」
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未来(プロフ) - 感想ありがとうございます!完結までまだまだ先は長いですが精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (9月5日 19時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしているので頑張ってください! (9月5日 8時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年7月24日 10時