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曖昧な返事。ちらりと野田の顔を見ると少し硬い表情をしていた。
「で?この後この4人はどーなったの?くっついたの?」
「あ…えっと…」
「だめだ、のだっち使えねー」
───昔、君と同じ
“無効化”のアリスを持った人がいてね
その人はいつだってその
何かを守る時にしか使わない人だった
あ……
もしかして、この“先生”が…………
ウチと同じアリスの先生…………
その人を好きやった“柚香”さん…
鳴海先生…
鳴海先生の好きな女の子……
写真と落書きから伝わる不思議な関係………
「でもさー、よく考えたら当たり前だけどあたしらって学園内恋愛がほぼって感じなのな。アリス同士の結婚率て70%だっけ?せま──い」
「何?不満なの美咲ちゃん」
「や、別に。でもつまんないよね」
「Aの結婚相手もいるかもなー?」
「へ…っ!?」
「お父さんは認めませーんっ」
「てことはさー、今、この学園に将来の結婚相手がいる奴が70%もいるってことかー。何かすげー」
「あ、うちの親もアリス同士ー、同級生だったってさーここに2人の落書きあったらどーしよー」
「うちもー」
「おー、結構いるな」
「話がだんだんズレてる気が…」
「ルカぴょんとこの親は?」
「え“」
「ききたーい、きかせてルカぴょんー」
翼のその言葉で落書きから親の馴れ初めへと一気に話が変わる。
「蜜柑?どうしたの?」
先程から黙ってしまった蜜柑の隣に座るA。何だか、少しだけ元気がないに見える。
「…ウチのお父さんとお母さんも、みんなのお父さんやお母さんみたく…2人の物語があったのかなあって…
幸せにならはったんかなぁ、この2人……心配や…」
先生と柚香の落書きを見て、そう言った蜜柑。
誰か2人の物語があって
そしてウチやみんなが生まれて
当たり前のことやのに
それが今はとても不思議な気分………
ウチはみんなほど
物語の登場人物もストーリーも分かってないから
こんな気持ちになるのかなあ
昔、君と同じ“無効化”のアリスを持った人がいて
その人はいつだってその力を
何かを守る時にしか使わなかったから
君もそうかもしれないと思ったんです
「何か……消してしまうの、悲しいなあって……」
だんだんこの落書きが
誰かにとって
何かの大事な証のような気がしてきて…
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時