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蛍と流架は戻ってきたあの2人の花姫の元へ行き、尋ねる。Aはその様子を静かに見つめた。





「あの子なら帰ったんじゃないかしら?」


「え?」


「さっき、いきなり「帰りたい」とか言ってたから、心配してたんだけど。
そう…いなくなっちゃったの…何の挨拶もなしに…」





3人の行方を撫子や小梅に聞いてみれば白々しい答えが返ってきた。


蜜柑が帰った…?あたし達に何も言わずに?
そんな事、蜜柑がするはずはない。


蜜柑がいないのをいいことにこれみよがしに侮辱する。そんなに蜜柑の事が気に入らないのだろうか。





「まさか…佐倉がいきなり1人で帰ったりなんか…」


「あら、どうかしら?
あまりお行儀のいい子には見えなかったし」


「姫さまの誘いをこんな形で返すなんて無礼な子ねー。今、姫さまが退出中だからよかったものの…」





くすくすと笑いながら話す2人に蛍は冷ややかな視線を送り、むっとした顔を見せた流架。





「…お行儀がよくないのはお姉様方じゃないかしら?」


「A…?」





Aの喋り方を聞いて嫌な予感がした流架は彼女を止めようとするが、蛍が流架を制止する。





「ここから初等部まで、かなり距離があります…
体調が悪いなら、尚更歩いてなんて帰れないでしょう」


「少なくとも蜜柑の足じゃ無理ね」


「それとも誰かご親切に車を呼んでくれた、とか?」


「「そ、それは…」」





Aと蛍に痛いところを突かれ、2人は冷や汗を流して口ごもる。





「…俺、探してきます」





そう言い残し、この場を去ろうとする流架。
Aと蛍もその後へ続こうとしたが2人に腕を引かれ、引き留められてしまった。





「あんな勝手な子の事なんていいじゃない!」


「そうよそうよ。そんな事忘れて、私達だけでも楽しみましょう!」





そう言ってA達の腕や肩を引き、皆で座っていた場所へ誘導しようとする。





「「はなせよ」」





痺れを切らした流架と蛍の鋭い視線を向けられ、2人は固まった。



するとそんな状況を見かねてか、他の花姫達がこちらに近づいてきた。





「そういえば、「雁の廊下」の方へ撫子さんたちと一緒に彼女らしき子が出ていくの見かけたような…」


「若竹さん!?」





宮園が口元に手を当てて呟く。それを聞いてあたふたし始めた撫子達。


それを見て確信した。蜜柑達の行方が分からなくなったのは2人のせいだと。





「みんなで一緒に探しに行きましょう〜」

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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。  (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時

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