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ムカつく貴女に、極上の笑顔で。
「
極上の毒を。
「…ま、まあ、可愛らしい笑顔!」
「なんて言ったのか分からないけど、きっと撫子さんの事を褒めているのよ、羨ましいわ!撫子さん…」
「…失礼します、」
クスリと笑って一礼をして立ち上がった。あたしの後ろ姿を棗くんが見ていたなんて知らなかった。
「…ムカつく、ムカつく、本当にムカつく、」
こんなに人に腹を立てた事なんてなかったから、そんな自分に少し驚いている。
けど、蜜柑の笑顔を奪うなんて許せない。あたしは皆の輪から離れて、やけ食いした。
足を抱えて俯いている蜜柑。そういえば、何も食べれてなかったよね。
「蜜柑、はいこれ。少ししか無いけどごめんね」
副笑いで遊ぶ蛍と花姫達を遠くから見つめる蜜柑に、先ほどの残った料理を盛りつけたお皿を差し出す。
「A…!?ありがとうな…」
お礼を言った蜜柑はお皿を受け取ると少しずつ、距離を置かれた。
「……?蜜柑?」
「だってウチ、におうから…くすりのにおい…
ゔゔ…みんな避けてるし…よーちゃんまで、」
「あたしはそこまでに気にならないよ。それにしても、ちょっと酷いよねここの人達」
「うん…でもここにいたら、Aまで…」
「そういうの、気にしないから、大丈夫。
それより食べなよ、お腹すいてるでしょう?」
嬉しそうに頷いた蜜柑は、お皿に乗っている料理を食べ始めた。だけど、量が少ないから蜜柑のお腹の虫の音は止まりそうにない。
「ハラの音うっせーんだよ、それくって止めろ」
聞き慣れた声と共に蜜柑の頭に栗きんとんが置かれた。
「蜜柑形の栗きんとんだとよ。ぱちってきた。
おめーみてーなのにぴったりだろ」
「棗…」
棗くんはあたしや近くにいた陽一くんにも栗きんとんを渡してくれた。蜜柑は栗きんとんを手に取った。
「ウチの様子、見に来てくれたん?」
「デカいハラ音に呼ばれてな」
「……」
なんだかんだ言って優しい棗くん。
心配されて気遣われて、よかったね蜜柑。
「バカくせー、何スネてんだお前。
あいつらがこれみよがしに振りまいてる香の匂いなんかより、お前のにが薬の匂いの方がよっぽどマシだ」
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時