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「つ──ばさ、見てきたぞ──A達の様子」
「お──ご苦労さん。何か変んなことあったか?」
「ん──変な事ねえ…お前、心配性な」
「まーねー」
花姫殿を出た美咲は翼と合流し、そのまま寮へと歩いて帰る。
「そういや、フロントでAに茨木のばらが何か話しかけてたなあ」
「
「よく聞こえなかったけど、何か必死になって“棗を止めろ”とか何とか言ってたような……」
「…何だそれ。大丈夫かいな、あいつら…」
「おめーがここで心配したってどーにもなんねーだろ」
花姫殿付近を暫く歩いていると、分かりやすく自分達の後を着いて来る人物に気づいた。
「「………」」
「…何かさっきから変なのついてきてない?」
「うーん、ついてきてるというか憑いてきてるというか…」
「何あの黒魔術な格好…」
「あれ氷姫だよな…」
翼と美咲の後ろでは、黒い頭巾を被ったのばらが2人の後をもじもじとしながら付いて来ていた。
「(何て…何て声かけたらいいのかしら………
“影の人”………“Aちゃんの知り合いさん”……)」
「「(何なんだろう……)」」
「(このまま気付かないフリしとくべきなのか…?)」
「あ…あの…っ」
のばらは勇気を振り絞って2人に声をかけた。
「…いたっ」
パタパタと駆け出したのばらは2人の目の前で転んだ。瞳いっぱいに涙を浮かべながら、ゆっくり立ち上がる。
「……っ」
「あの、大丈夫…?」
何やら切羽詰まった様子でオドオドしながらも、何かを精一杯説明しようとしていた。
「…あのっ、…おねがいですっ。
棗君をとめて、Aちゃんを助けてあげてくださいっ」
「は?」
「それ、どういう意味?のばら」
「!、り、璃音君っ」
懇願するような彼女に事態が緊迫している事が伝わってくる。そんな時に上から声が聞こえた。3人の真上には瓦屋根に膝を立てて座る璃音がいた。
「お前っ、何でこんなとこいるんだよっ」
「こっそり入れる所をあちこち偵察してたら翼達がいたんだもん。それよりものばら、詳しく教えろ」
オドオドしながら精一杯説明しようとするが、しどろもどろで何も伝わらない。
もどかしく思ったのばらは、翼の着物の袖を引いた。
「おいっ」
「…こっちですっ」
気が進まないような、躊躇うような様子を見せているが時間はない。花姫殿の地下に繋がる抜け道へ案内した。
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時