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花姫達はくすくすと笑い、中等部校長も蛍を見つめる。
欲しい…欲しい…
何だか、中等部校長の妄想がだだ漏れしてるような。
「姫さま…妄想が…はみ出てます…」
「あら…」
「「「(え…え──と…)」」」
あたし達が中等部校長の事を引いている間に話は進んでいく。
「姫さま、今井さんの花名ですけど“若紫”はどうかしら」
「あら、“菫の君”よ」
「菫なんて小ぶりな花、大器の今井さんには似つかわしくない花だわ」
「白崎さんの花名はどんなのがよろしいかしら?」
「初霞よ、お似合いだわ…」
先程まで黙って微笑んでいた花姫達が一斉に口を開いて言い争いを始める。
何か、
「皆さま、お客人がとまどってらっしゃるわ」
静音先輩が口を開くと口論が止まり、静かになる。筆頭花姫という役職通り、花姫達のまとめ役みたい。
「このお喋りな姫達は私の可愛いお花達、“花姫”。
まずはご挨拶をなさいな」
中等部校長もそう述べると、申し訳なさそうな顔をした花姫達が口を開いた。
「申し訳ありません。
「びっくりされたでしょう」
「この花園会では私達、花姫は皆、“花名”で呼び合ってますの」
「私の花名は“撫子”といいます」
「“小梅”です。よろしくね」
それぞれの自己紹介を聞いて蜜柑の目がキラキラ輝く。
「そうね。“若紫”、確かにあなたにぴったりの花名ね」
中等部校長が蛍の名前を決めた時、あたしの頭にはどうしてか、のばらちゃんの声がグルグル回っていた。
「立ち話はこの辺にして、宴を始めましょう」
「あ!」
宴を始めるために席に就こうとした時、蛍と流架の体がすとんと離れた。もっちもっち粉の効果がきれた?
2人は自由になって清々している。
「あ、あの、棗くんっ、」
え。離れないどころか、さっきより強く握られた?
何で?どうして?え?
「……へっ、」
棗くんの力が弱まったからそーっと手を離そうとした、のに、出来なかった。
「な、棗くんっ、本当に、本当にくっついてるよっ!」
「…ちっ、」
震えながら小声で言うと、棗くんは手を離そうとした。舌打ちをした棗くんも気づいたみたい。あたし達本当に手がくっついちゃった。
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時