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野田と美咲から指示を仰ぎ、蜜柑と共に荷物の整理や掃除を分担していく。
「殿!働けよ──、もう」
殿内は未だにクッションに腰を掛けて、飲み物を飲んで寛いでいる。
人手は少ないが、美咲のアリスのお陰で終わりが見えてきた頃。
「今井…お前は
「あっ、岬先生にルカぴょーん!」
そうこうしている間に、岬が後ろに流架を連れて特力へやってきた。蜜柑は、やってきた2人を笑顔で迎える。
「こんな所で何やってる!帰ってきなさい!」
岬のその表情は怒っているわけではないが、呆れているのは明らかだった。
「うわー、ルカぴょんチクったん?!勇気あるな──」
「………」
蛍はドス黒く面倒臭いオーラを全身から迸らせ、無言のまま岬と、彼の後ろに隠れるように佇む流架をじっとりと見つめる。
チクった流架は蛍に睨まれて、冷や汗を流している。
「すみません岬先生、今すぐお茶いれます」
「あ、いや…」
「いーとこ来たなー、ルカぴょん。手伝って!
おーいA!」
流架に気付いた美咲はニヤニヤしながら彼の手を引いて本棚の掃除をしているAのもとへと連れて行く。
「ルカぴょんも手伝ってくれるって!」
美咲の声に振り返ったAは、汗をかいて気まずそうにしている流架に声をかける。
「流架!手伝いに来てくれたの?蛍の所も掃除してきたのに、流架は優しいね。ありがとう!
壁の汚れを消す係で、約10年分の汚れがあるって聞いて本棚の裏も掃除しようと思って!
…あのね、一緒にこの本棚動かして欲しいんだけど、」
「あ…うん…」
嬉しそうに話すAに負けて、流架は仕方なく手伝う事にし、大きな本棚を動かした。
チクられて恋路を邪魔する気満々の蛍の冷たい空気と、美咲と翼からの暖かい空気が2人を否、流架を見守る。
「あ、蛍も手伝ってくれるの?」
「見てるだけ…」
本棚を退かしている最中に蛍の監視が入ったが、Aは知る由もない。
「うわー!落書きがこんなにいっぱいあるっ、あれ蛍。手伝ってくれるの?」
「スプレーするだけ」
「ウチも手伝うで──っ!」
「ありがとうっ、蜜柑、蛍っ!」
「…」
言葉通りでその本棚の後ろには、マジックで書かれた落書きが沢山あった。
Aと流架の間に割り込み、スプレーをかける蛍はその落書きを見て、ふとあることに気付いた。
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時