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「行きましょう。あなた方のお越しを、姫さまが首を長くしてお待ちしております」
長い廊下を進んで、静音先輩が目の前のドアを開けると入った瞬間に物凄い注目が集まった。
「来たわよ…」
「今年の招待者と当選者よ」
「やだ、男の子じゃない?!あれ」
この大きな部屋では沢山の女子生徒達が着物を着て宴を催していた。
「ここ花姫殿1階の玄関フロアは、中・高等部の一般女子生徒のみに一般用の新年会場といて開放しています」
女子生徒達があたし達に視線を向けて、ひそひそと話し込んでいる。そんな視線を感じつつも、静音先輩の後を追い階段を登っていく。
「彼女達が足を踏み入れる事が出来るのは、このフロアのみ。あなた方が今から行くのは2階の選ばれた者しか足を踏み入れられない奥座敷です」
静音先輩の説明を受けながら階段を上るあたし達6人。一般の生徒が足を踏み入れられない2階へと続く階段を上がれば勿論、目立つわけで。
「ねえちょっと…あの子、」
「やだあれ、初等部の“日向棗”じゃない!?何であんな子がここにいるのー?!」
「うそっ、あれ棗君よ!」
「あ、あの子!今井蛍って子よ。
「あ──、美少女で変人って噂の、」
「隣の子、何で背中合わせで歩いてんのかしら。
あの子、男の子?女の子?」
「え?あの子も男の子なの!?」
「うそ、かわい──っっ!」
「前を歩いてる子は女の子みたいだけど…何アレ、何であんなフツーそうな子が招待されてるの!?」
「あれが抽選玉あたった子?」
「何でー?!初等部の子?!」
向けられる興味や嫉妬の視線。ざわざわとしている下の会場から聞こえる様々な声。
「ねえ見て!Aちゃんがいるわ!Aちゃーん!」
「Aちゃん可愛い!こっち向いて!!」
そんな中で辺りを見回してたら、色んな人と目が合って手を振られてしまった。あたし何もしてないのに何で。
「…あっ、」
手を振っている美咲ちゃんを見つけて、手を振り返した時に見つけた、ある女の子。
「のばらちゃんっ、」
「Aちゃんっ!」
綺麗な振り袖に身を包んだのばらちゃん。名前を呼んでのばらちゃんに手を伸ばしたのに、あたしの体は後ろに引っ張られた。
「ゔぐっ!!」
今度は支えがなかったせいで、ものの見事に後ろに引っくり返ってしまった。
「(棗君っ!?何で…)」
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時