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「お久しぶりね、今井さん。
来て下さって嬉しいわ。その後、お体の方は大丈夫?」


「……はい、ご心配おかけしました」





蛍と挨拶を交わしていた静音先輩は会話が終わると次にあたしと視線を合わせた。





「A、お久しぶりね。元気そうで安心したわ。
相変わらず、スベスベで綺麗な肌ね…」





うっとりとあたしの肌を見たり触ったりしている先輩。うわあっ、は、恥ずかしいっ、





「…ちっ、」





急に棗くんに引っ張られて、思わず転けそうになった。


ギリギリの所で棗くんがあたしの体を支えてくれたから転けなくて済んだけど、棗くん、どうしたんだろう。





「………ごきげんよう」





そう言った静音先輩の声は蛍に挨拶した時よりも幾分か低かった。


蛍やあたしに向けてくれた先程の微笑みとは真逆の鋭く冷たい目だった。


棗くんはさして気にした様子もなく鼻を鳴らした。あ、そっか。棗くんとはプリンシパルで知り合いなんだ。





「こんな所へあなたがいらっしゃるなんて、めずらしいこと」





場違いと心得よ、と言わんばかりの言葉と冷たい目だ。





「わざわざ姫さまの不興を買ってまで、いつもこういう場を避けてまわってるあなたがどういう風の吹きまわしかしら………」



「うるせぇ」





静音先輩の言葉に煩わしそうに眉間に皺を寄せて睨みを利かせる棗くん。その瞬間に、カメラのシャッター音がカシャと鳴った。


いつの間に取り出したのか、静音先輩の手にはカメラが握られていた。





「ハイ、今井さん。
売り上げを伸ばす写真は、基本カメラ目線よ。
技術系繁栄のために、研究資金しっかり稼いでね」





蛍の写真の黒幕が発覚した瞬間だった。


カメラを蛍へと差し出してアドバイスまでしている静音先輩を見て、皆で驚きながら呆然と眺めた。





「冗談はさておき」


「え、冗談?」


「ついていけねー」


「同感」





そのまま冷たい目で鳴海先生と翼くん、璃音くんへ向き直った静音先輩。


いつまでいるのかしら、男子(招かざれる者)
無言の圧力で、じ──…と3人を見つめている。





「みてるみてる…」


「あ──…じゃあ、みんな。僕らはこの辺で♡」


「たのしんでこ──い…」





その厳しい視線に意図を感じた3人は苦笑いした。





「えっ、もういくの!?」


「先生達、もう少しくらい居ても……あっ、」





3人が数歩後ろに下がると、門前払いのようにバタンと扉が閉められてしまった。

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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。  (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時

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