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「…まぁ、あちらでお世話になる以上、多少その性格に振り回される事もあるかもしれないけど、
「「は──い」」
鳴海先生なりに心配してくれてるのかな。けど、先生の忠告をしっかり聞いていたのはあたしと蜜柑だけで。
蛍と流架は生返事を返し、棗くんに至っては完全スルーしていた。
「憂鬱だこと…男の子だなんて…」
花姫殿の最奥で姫宮が呟いた。
「男はキライよ、私の花園を土足で踏み荒らしてしまう生き物だわ」
「では姫宮さま…噂は本当ですの?
今年の新年会、あの“黒猫”が出席するという話…」
「それ以外に他にも男の子が2人もついてくるとか」
「仮面の君がおいでになると本当にろくな事がない…」
「姫さま、おかわいそう…」
「あ…でも姫さま、今年はあの方が…紅華の君がいらっしゃるんでしょう?」
「何か…憂さを晴らす新たな楽しい趣向はないかしら」
姫宮が扇子で椿の花に触れると、椿の花が静かに床へと散り落ちた。彼女の企みなど、まだ誰も知らない。
「着いたよ──」
鳴海先生と翼くんの付き添いの元、漸く着いた花姫殿。先生の助言、ちゃんと守らなきゃ。
「ここが中等部校長の居であって、今日の新年会の会場でもある“花姫殿”だよー♡」
「す、すごい…っ」
「何ここ?!これが家?!
何者?!校長先生て何者?!」
「それは俺がききたい。ありえね──よな──この広さ…ほんっとにナゾな人物…校長's…」
驚くも無理はない。このお屋敷、今通ってきた中等部の校舎や寮よりも大きくて凄く豪華だから。
辺りに咲く椿や水仙の花が一層此処を美しく魅せている気がした。翼くんもちょっと引いているし、先生なんて呆れ顔だ。
「今井蛍さんと佐倉蜜柑さん、そして白崎Aさん。
その同行者の方々ですね。
ようこそおいで下さいました。ここより先は、私が案内させて頂きます。先生方、ここまでのつきそいご苦労様でした。
花園会にて筆頭花姫のお役に就かせてもらってます、“かきつばた”こと、高等部三年の山之内静音でございます。本日はどうぞ宜しくお願いします」
現れたのは技術系の総代表の静音先輩。
「かきつばた」…?筆頭花姫…?!
柿toバター?って、蛍…
聞き慣れない単語に、男子陣と同じようにあたしも引くしかなかった。蜜柑だけがキラキラと顔を輝かせる。
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時