474 ページ34
「ダメ!絶対ダメ!俺の愛しいAの口からそんな言葉聞きたくない!!!」
「う…A、今のは忘れて頼むから、」
何故か、パジャマ姿の璃音くんがあたしの口を塞いだ。翼くんもあたしの肩に手を置いて、そう言ってきた。
「さっさと消えろ!!!」
そんな皆に痺れを切らした棗くん。扉をバタンと閉めてあたしの手を引っ張り、強引に部屋の中へ入った。
「……、は───…」
棗くんの部屋には、蛍が設置したであろう監視カメラの小型亀がいた。い、いつの間に。
「おれだってテメーなんかと寝るのはゴメンなんだよ」
「…えっ、」
あたし、そんなに棗くんと一緒に寝たくないってオーラ出してたの?
そんな事、ない、わけじゃないけど、それは恥ずかしいだけで。
「お前、寝相悪いだろ。けんなよ、寝言も言うなよ」
「ま、前に寝た時に言わなかったもん!寝相だって悪くないよ!」
つい反抗しちゃったけど、あの日の事を思い出したら、急に恥ずかしくなって俯いてしまった。
「…悪かったな、ルカじゃなくて」
「……へ、」
棗くん、どうして今、流架の話を?
それより、どうして、そんなに悲しそうな顔するの?
「明日で終わりだ、こんな茶番……寝るぞ」
何か、変だよ。
棗くん、どうしたの、茶番って…何かあったの?
ベットに入った瞬間に離れてしまった棗くんの手。あれだけ離してと言っていた癖に、今は手を離したくない、なんて思ってしまった。
「……」
それにしても、ベットが広い。棗くん、いつもこんなに大きなベットに1人で寝てるんだ。寂しくないのかな…
「…な、棗くん、起きてる?」
静まり返った部屋の中、なかなか寝付けず、ぱちくりと開いているあたしの目。
あたしの方へ向かないで、背を向けて寝ている棗くんの方を見て背中に話しかけてみた。
「…寝た、」
あ、起きてる。ちゃんと応えてくれた。
「…あのね、棗くん。
さっき言ってた“茶番”、あれってどういう意味なの?」
「寝たっつってんだろ、痴女」
ち、痴女…明良くんに前に聞いたら、とんでもない意味だった気がする。
「ちょっとくらい、応えてくれても、いいじゃん…っ、棗くんはいつもそうやって1人で背負って、あたしは、あたし達はっ、」
「…寝れるようにしてやろうか?」
「ゔっ、」
泣きそうになって声が震えた。それでも棗くんに思いを伝えようとした。
59人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時