473 ページ33
あれから数時間が立って、夕食の時間になった。
お正月という事だけあって星階級別だけど、いつもより豪華な食事がテーブルに並べられている。
「ゔうぅーっ、酷いよ、酷いよっ、棗くんっ、」
「うるせー…」
泣きながら落ち込んでいるあたし。
隣に座る棗くんはうんざりとした顔で睨んでくる。
「あの後3回以上トイレに行った女が良く言えるな、」
「…そ、それは、それっ、これは、これだよ!」
は───…と溜息を吐いた棗くん。あたしだって、溜息吐きたいのに。
そもそも、棗くんが手なんか繋ぐから。思い出しただけでも顔から火が出そう!!
「大丈夫?A」
傷心中のあたしを気にかけて、声をかけてくれた流架。流架のさりげない優しさがあたしの心に響いた。
あたし、流架のそういう誰かを思いやれる所が大好き。
「じゃあ、Aちゃんは棗君よりルカぴょんが好きってこと?」
「うん、流架の事大好きだよ?」
流架は優しくて、温かくて…あれ……
え……っ、いま、あたし、誰に向かって答えた?
「ち…ちが────ううう!!!そうじゃなくてっ!!心読まないでっ!!!」
あたしの声は音として、棗くん、流架、蛍、蜜柑、その場にいた人に伝わってしまった。
「…璃音さーん、顔めっちゃ怖いで」
「…あ?っんなの当たり前だろ、……大切な妹の一大事なんだから」
「…え?ごめん!聞こえへんかった!」
「…っ、いや棗がAに手出したらやべーなって言ったんだよ」
「当たり前やろ!そのために翼先輩が見張るんや!!」
子供は寝る時間になった。何度目だろう、多分3度目の棗くんの部屋。
何度見ても広くて豪華で大きな部屋だけど、今度ばかりは心持ちが違う。
「何だよ。
てめーのせまい部屋で寝たいならそう言えよ」
「…ち、違っ、」
棗くんの部屋で一緒に寝るのは2度目、なのに。でも、あの時とは全然違う。
あたしは棗くんが好きだと自覚してしまった。
「「「初夜や───っっ!!!」」」
そんな中で2人きりで寝るなんて…心臓もたないよっ!
「お前ら…それ、意味分かって言ってんのか?」
意味がいまいち分からない単語を言った皆に、翼くんが呆れ顔で溜息を吐いてたけど。
「…翼くん、初夜ってどーいう意味なの?」
「一緒に寝ること以外に何か意味あるのか?」
棗くんと一緒に寝るという現実から暫しの間、現実逃避させて。
59人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時