星々の輝き、祈り。10【学園アリス】 (ページ30)

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「…これって、…え、でも、」

昨日と今朝、あたしの部屋の前にあったもの。なんだか怖くて中身を見なかったのに。何で先生が持ってるの？

「読んでないこと、知られてるよ…中等部校長が直々にAちゃんを花姫殿へ招待するって手紙にはそう書いてあったよ」

「え、…え？！」

「うわ──…」

「Aちゃん、すごい…！」

先生の言葉に皆が口も揃えて何か言ってたけど、あたしの耳には入ってこなかった。

どうして、あたしが？

それしか頭になかったから、気づかなかった。あたしの手を強く握った棗くんの行動に。

それに気づいたのは、招待状の話から違う話に変わった時の事だった。

蜜柑と離れる事ができたから必然的にあたしと棗くんは離れられるって事だよね？

なんて考えながら前に手を出そうとした。のに、後ろに引き戻された。

「…え？」

棗くんの冷たい、冷んやりとした手によって。

「え！Aと棗も離れねーの！？」

「さっき、はなれとったよー！ウチと一緒にはなれたの見たで！！」

え、あの、違う。
これは、棗くんがあたしの手首を掴んで、て。

「…離れねえ」

「は、い…？」

違う、のに。棗くんが、手を離してくれない。

「…離れねえよな、イチゴ柄(・・・・)？」

「…は、はい……、」

少しでも余計な事話してみろ…脱がすぞ。
言葉では言っていないのに、それがヒシヒシと伝わってきてしまった。

棗くんの鋭い睨みに、あたしは思わず頷いてしまった。

「とりあえず、このもっちもっち粉のひっつきって強い力でひっぱり続ければ、それなりに離れるけど。

ひっぱる力がなくなれば、すぐ磁石のＮ極とＳ極みたいに元に戻ってしまう」

棗くん、どうして、嘘ついたんだろう。

あれ、そういえば花姫殿に招待されるって分かった時に手首掴まれたんだっけ？

……棗くん、いつもと少し、様子が違う。

「風呂は２～３日我慢するとして、まあ、冬だし…
着替えはカーテン越しとかなら何とかなりそうだし、」

あたしの考えは、ここまでの思考は翼くんの言葉で停止する事となった。

「問題はトイレと寝る時だよな」

あたしの頭は、この言葉で停止した。
翼くん、いま、なんて言った？

「｢え｣」

「やん…や…だってほら、そうじゃん？
こんだけ強いひっつき力でひっぱられてたら、さすがにトイレでもドア越しってわけにはいかねーだろうし」