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「Aちゃんはやっぱり凄いなー」
なんて言いながら、あたしの頭を撫でる先生。その先生の手に違和感を感じた。
「…鳴海先生の手、冷たい…大丈夫?」
「ん?大丈夫だよ──僕は強いから!はいっ、みんなと一緒に寮に戻ろっか。Aちゃん」
そう言って繋がれた手に視線を向けた。手袋をしていたから見えなかったけど、何故だか嫌な予感がした。
新年早々、相変わらずドタバタですが、今年も良い年になりますように。
来年も、再来年もその次も。ずっとずっと…
鳴海先生に見送られながらあたし達は寮に帰ってきた。談話室に戻ると、蛍はケーキを出して蜜柑のプチ誕生日パーティーがスタートした。
皆もそれぞれプレゼントを購入していたようで、蜜柑に手渡している。
「みんな、ありがとうっ!」
勿論、あたしもプレゼントを用意してあるから、鞄から取り出して手渡した。
「Happybirthday、蜜柑っ!」
「Aっ、ありがとう!開けてもええ?」
「うん」
「…わぁっ!リボンと髪留め!!」
「蜜柑はいつもツインテールの髪型だし、その髪留めが似合いそうだなって思って、」
ピンクとオレンジのストライプ柄のリボンと、真ん中に花のラインストーンが付いている髪留め。
蜜柑は目を輝かせて、2個ずつ入っていたリボンと髪留めを見つめている。
「ありがとうなっ!!冬休み明けたらつけるなっ!!」
本当に嬉しそうに喜んでくれたかは、プレゼントできて良かった。
そして、いつの間にか部屋に戻っていた棗くんに蜜柑は謝ったのだけれど、漫画の本で顔を隠している棗くんは無反応だった。
お正月のぐんにゃりとした空気を変えたのは、蛍の元に送られてきた1通の手紙だった。
「それにしてもすごい数だね、蛍…」
「そうかしら、お得意様とか色々いるから」
ケーキを食べ終えると、皆で残りの蛍の年賀状の整理を手伝うことにした。すると蛍は1枚の手紙が目に付いて手に取った。
「わ──!蛍ちゃん、キレーなお手紙ーっ!大富豪さんからのパーティーの招待状?」
「かもね。捨てるか」
近くで整理していた皆も蛍が持っている手紙が凄く綺麗なものだったので、手を止めて見つめている。
蛍は興味無さそうな表情をしながらも、その手紙に添え
られている薔薇を抜き取った。
そして中身を確認しようとした、その時。
「「「「わ!!」」」」
封が勝手に開いて巻き上がる薔薇の花びら。
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時