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A達の問いに対して、翼は答えることはなかった。





「まあ、人にはいろんな事情があるんじゃないの?」



「蛍っ」



「(いつのまに………っ)」





突然、Aの隣から別の声がした。
声の主は、いつの間にかやって来た蛍だった。





「あんた達は仲良くしているんだし、それでいいんじゃない」



「そう、だよねっ」



「蛍、そーじ終わったん?」



「バイトにまかせたわ」



「やるな…」





仲良く手を繋いで離れて行く3人を見つめて翼は呟く。そして、蛍に感心するのだった。





一方その頃の教室では、棗は目の前にいる同じ危力系ののばらを冷たく眺めていた。





「…何で来たんだ、てめえ」





カゲに連れられて涙汲みながらも、能力別教室の大掃除に向かったA。





「…あいつに近づくなって言ったろ」





先ほどのあいつの笑顔を思い出す。


俺達が近づけば必然と目を付けられちまう。ただでさえ俺も璃音も、もう隠しきれてねえのに。





「さっさと帰れ」





この女までAの周りを彷徨く事になったら、もう庇いきれなくなっちまう。それだけは、ぜってー避けなきゃなんねえ。





「わ…私…棗くんにも用事があって……
あの、言わなきゃいけない事が…………」





絶対に傷つけないと、守ると決めたんだ。





「……っ…クリスマスパーティーの時…
私…ずっと…Aちゃんの事、見てたの…」





おずおずと話し始めたこいつの声に耳を傾ける。
声が小さくて聞こえにくいが、一応言葉を待った。





「最初から最後まで、高性能音声ききとりオペラグラスでパーティー中、ずっと、ずっとAちゃんの事見てたの…」



「…………」





のばらの話す事に興味なんてものは微塵も感じないが、それがあいつに関する事なら話は別だ。だが…





「………………………………」





何をみた、こいつ…





頭に浮かんだのは、あいつとの、Aとの、キスのことだった。






「そしたらダンスの途中、Aちゃん、踊ってた相手の人に仮面をはずされちゃって………」





あいつと、キスしてえ。





「その人…はっきりとは見えなかったんだけど、校長先生だったと思うの………」





Aの顔や言葉、表情を思い出していたのに、この女の言葉で俺の頭は真っ白になった。





「私…この事、棗くんには知らせておいた方がいいと思って…」





気をつけて、大切な何かを失わないように…

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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。  (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時

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