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「外国の方かしら…そしたらルーちゃんハーフてことね…ルーちゃんて何人家族?」
「“ルーちゃん”呼ぶなっ!」
「ルーちゃんは、えっと──1人っ子の5人家族。父母、祖父、犬…」
「読むなよっっ!」
年賀状を勝手に見られた事とルーちゃんって呼ばれた事に本気で怒ってる流架だけど、皆は一向に流架に年賀状を返そうとしない。
「あ…」
その時、棗くんが蜜柑の手から流架の年賀状を取った。
「棗…っ」
「許可なく人のハガキ見てんじゃねーよ、悪趣味女」
「「ゔ…」」
「ルカ、ほら」
そう言って流架に年賀状を返した棗くん。流架は物凄い早さで年賀状を受け取った。
よっぽど見られたくなかったんだ。返す言葉もない皆は反省したみたいで謝ってる。
「あ…棗っっ、そや!棗は年賀状て何枚きた?」
「「「(あ、)」」」
咄嗟に話題を変えた蜜柑。だけど、蜜柑のその言葉で、一瞬で空気が凍ったのはあたしにも分かった。
「え、」
棗くんの表情は険しくなって、冷たい目で蜜柑を見た。
棗くんが見ているのは蜜柑なのに、どうしてかあたしは体が動かなかった。
棗くんは溜息をつくと、バタンと扉が閉めて出て行ってしまった。
「あ──あ、バ───カ」
「こわ…」
「え…何、今の……ウチ何かした?!」
棗くんの行動を不思議に思ってる蜜柑にスミレちゃんは睨みながら答えた。
「あんたねー、何も知らないわけ?自分の時はあんだけ大騒ぎしてたくせに」
「何を?!」
何がたんだか訳が分からないと反応を示す蜜柑。怒ったように呆れたように、腰に手を当てて蜜柑を見るスミレちゃん。
「棗くんの所には、今まで手紙とか来た事ないんだよ」
「…っ」
委員長の話を聞いて、先程から手にあるものを握った。流架にも璃音くんにも翼くんにも送れたのに。
「何で!?」
「知らないわよ。そこらへんは学園の考えや棗君の事情もあっての事だろうし。
棗君の家族の事とかも私達、聞いたことないし。は──少し考えれば分かりそうなもんなのに、こんなの。折角のおめでたい空気を、この地雷バカが」
スミレちゃんの言葉が、エコーとなって蜜柑の心に重く響いた。
「蜜柑……」
「A、」
「り、おんくん…」
恥ずかしくて、彼だけには送れなかった。
棗くんのために、何時間も悩んで考えて書いた年賀状。
「A、棗に
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時