星々の輝き、祈り。10【学園アリス】 (ページ17)

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「ちょっと、何勝手にデタラメ読んでんのよ。そんな札ないじゃない」

「今日…って元旦じゃないの？」

「1(・)月1(・)日だから、いい日ってこと？」

「何だろう…何か良いことがあるのかな？」

「うーん残念！ハズレ」

新たに作った句を詠んだ事にスミレちゃんは怒るけど、流架や心読みくんと一緒に質問に答えた。

あたし、演技下手すぎるかも。どうか蜜柑にバレませんように。

蜜柑の誕生日だって事は蛍から聞いてるけどごめんね、蜜柑。皆でサプライズしようって決めたの。

「じゃあねーヒント！今日は誰かさんの誕生日です！！ウフフフフ～」

嬉しそうに笑う蜜柑を見て、あたしもつられて笑った。その時に気づいた。流架と棗くんも蜜柑のこと見てる？

「…っ」

ズキンッ。こんな感情、いけないのに。また、また黒いモヤモヤが、あたしの中に生まれた。

棗くん、蜜柑を見ないで、あたしだけを見て、どうして蜜柑なの。消えろ、消えてよこんな感情…っ

「さあ、誰の…っ」

「みなさ──ん！年賀状が届きまっしたよ──！」

あたしのモヤモヤを払いのけるように、自分の誕生日である事を気付いてもらおうとドキドキしながら伝えようとする蜜柑に被さるように、タカハシさんの声がした。

「璃音くんあのね、年賀状、書いたのっ、」

「まじ？嬉しい！俺もAに年賀状書いた！」

「…ありがとう！嬉しいっ」

璃音くんから貰った年賀状を見て思い浮かんだのはある人達へ書いた年賀状。

「…お母さんとお父さんに出したの届いてるかな、」

「絶対、届いてる。俺達のアリスを信じようぜ」

皆が年賀状の周りに集まっているのを見ながら璃音くんと端っこで話していたのは、お母さん達に出した年賀状のこと。

勿論、２人が住んでる所なんて分からないから、だから２人で考えて、考えて出た答えがアリスを使うってことだった。

あの時見つけた落書きの前で撮ったあたし達の写真と、２人分のメッセージ。

璃音くんのアリスで風を起こして年賀状をお母さん達の元へ、あたしの音のアリスであたし達の祈りを贈った。大丈夫、きっと届いてる。

「…っ！」

「理人！何してるの！急がないと追っ手がっ」

「分かってる…っ、けど、いま璃音とAの声が聞こえた気がして…」

「…そんな事あるわけ…っ、」

「…茜っ、これ…年賀状、」

「…A、璃音っ、」

「…奇跡って起こるんだな」

「…この落書き、私達が昔書いた…懐かしい」

「ああ。早く２人に会いたいな、」