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髪が濡れていたのは吹雪のせいで、靴が片方無いのは、此処に来る雪道で脱げたそうだ。
「少しでも…みなさんのお役に立てたらと思って…」
「「「(全然役立ってねえ──…)」」」
だが残念なことに、もう大掃除終わった初等部B組の皆さん。
「のばらちゃん…」
「も…もう一度…Aちゃんに会いたくて…」
「あたしも、あたしも、会いたかったっ、」
「………」
目を嬉しそうに潤ませて抱き合った。棗に白い目で見られている2人は直ぐに、引き離される事になる。
クリスマスの日から見れなかったAの笑顔が見れた、久しぶりにルカと笑い合えた棗。
涙ぐみながら抱きしめ合うAとのばら。棗はその事が気に食わなくて、Aの髪を掴んで引き剥がした。
その後直ぐに、鳴海と翼が教室に入ってきた。
「はい。お取り込み中、悪いけど。
午後から皆さん能力別クラスの教室の大掃除の事、忘れないでね──」
「A──、みか──ん。遅いから迎えにきたぞ──」
「わざわざ迎えに来てくれてありがとう、翼くんっ」
──と、いうわけで。
これから能力別クラスの大掃除だ。
「あ!技術系が大掃除バザーやってるー!
人いっぱーいっっ」
「お──………知った名前のお店があるな」
「今井蛍商店」と書かれた看板と、のぼりに「決算!売りつくし」と書かれてある一際目立つ店を見つめて、翼は呟く。
「技術系は個別研究室とかもあって他のクラスより使用部屋数多いし、物あふれ返ってるし。
潜在系や体質系の掃除が終わった生徒が、よく手伝いのバイトに行ったりすんだよなー」
「
「あ──!
そういえばルカぴょん、蛍につかまってたなー」
蛍に捕まっていた流架の姿を思い出す。すると突如、Aは溜め息をつく。
「…はぁ、」
「おっ。何じゃらほい、いきなり」
蜜柑の手を握る反対の手で、Aの手を握る翼は視線を向ける。
「あのね…のばらちゃんの事で、」
「ああ…氷姫ね…」
「ケーキ作りの時も思ったけど、何で中等部の人達ってのばらちゃんに、あんなに冷たいのかな。大掃除も一人きりなんて…」
「危険能力系ってだけであんな態度、何か可哀想や…
棗も同じ危険能力系のくせに、のばらちゃんには何でか冷たいし…」
「陽一くんには優しいのに何でだろう…」
「………」
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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。 (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時