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のばらちゃん
何しに来たの、その格好…


歌詠、初等部B組の皆さん





急なこの展開に付いていけないのは無理もない。B組の教室には珍しい訪問者だ。


しかも彼女の姿が冒頭で述べたように理解に苦しむものだった。


髪は濡れ、靴は片方無く、肌はあかぎれ僅かに出血しており、寒さに少し震えている。


謎である、のばらの突然の来襲(?)の真相を述べる前に30分ほど遡る。





Aと棗と流架。
3人で笑い合う空気に気まずさなんてものはもうない。やっと元の自分達に戻れた。


そう喜んでいた時だった。バチリと電灯が凄まじい音を立てたのだ。そして、それと共に襲ってくる冷気。


Aは思わず廊下の向こうに視線を走らせた。先程まで誰もいなかったその場所に、一人の女生徒がいた。長い髪を垂らしたその姿に、先程のスミレの怪談が蘇った。





──暗くなった初等部校舎を歩いていると





この場所は言うまでもなく、初等部の廊下である。





向こうの奥から、血でびしょ濡れの女生徒の霊が…





チラリと見た女生徒の足元は血塗れだった。靴も履いておらず、真っ白の足が小刻みに震えている。





長い髪を垂らし、手には刃物を持って





淡い水色の髪は無造作に垂れており、その白い手には、一つのハサミを持っている。だらりと下がった手が酷く不気味だった。





出会った人間を必死の形相で、あの世への道連れにしようと、追いかけてくるという…





「…A…ちゃ…………」



「…っ、いゃああああぁぁぁぁああああ!!!!





余りの恐怖に、廊下に響き渡るほど大きな悲鳴を上げたAは、全速力で教室へと走り去った。流架も一目散に逃げてしまっている。


その場に残った棗は、その幽霊の背中に蹴りを入れる。勇者か。





「お前、のばら…」





蹴られた幽霊もとい女生徒が顔を上げれば、その正体はのばらだった。そして、棗に教室まで連行されて冒頭に戻る。


大掃除のこの日。
相変わらず、のばらは中等部でのけもの状態だった。


教室の窓から大好きな雪を眺めながら、クリスマスパーティー前日以来、会っていない大好きなAを思い浮かべる。


外の吹雪でテンションのあがったのばらは思いきって、Aのクラスの大掃除を手伝いに行こうと一念発起、初等部へ向かったのだ。


そして、おばけと間違えられたのだった。

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未来(プロフ) - てあさん» 嬉しいお言葉、ご愛読いただきありがとうございます。  (2023年3月24日 22時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
てあ(プロフ) - すごく面白くて大好きです。 (2023年3月24日 3時) (レス) @page50 id: 0608e9eaca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2023年1月11日 19時

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