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吐き捨てるように言葉を吐いた。
酷く憂鬱げな表情だった。


その言葉は、辛くても“辛い”と言えない…2人の精一杯の弱音だったのかもしれない。


子犬と向き合う璃音くんの背中は酷く寂しげで、それを見ている棗くんの横顔もどことなく影を帯びてるように見えた。


2人は凄く大きな事を抱えていて。
あたしよりずっと辛い思いをしていて。


辛い思いをして笑えなくなった棗くんも。
辛くたって笑ってる璃音くんも。


……………あたしには、救えないの?




「……あたしと、まわって欲しいのっ、文化祭…
あたしと一緒にまわって、くれませんか?」




辛くて悲しい“何か”を背負っている人が近くにいて。
でも、自分には何も出来なくて…




────それでも何かしたいって思ったから。




「…2人とまわりたいんです…っ、流架くんと4人で、楽しみたい…っ!ダメ、ですか…?」




あたしは、一緒にいる事を選びたい。


一緒に笑いあいたいから。笑った顔が見たいから。


本当の笑顔が見たいから






「良いのか?友達とか大丈夫なのか?」



「…あたしは、璃音くんと棗くんとまわりたいのっ」



「ありがとな、A」




あたしの言葉に璃音くんは笑った。
何故だかその笑顔は、何処か懐かしい気がした。




「…棗くん、あのっ…」



「…勝手にしろ、」



「…ありがとっ、!い、行く所考えとくねっ!」





棗くんと璃音くんがこの文化祭で笑えますように。


嬉しくて、にやける口元や赤くなった頬を隠しながら教室に向かった。途中で流架くんとすれ違って、ビックリされた。




「棗ーっ!璃音ーっ!」




遠くから走ってくる流架の姿が見えた。駆け寄ってくる姿を見て棗と璃音は僅かに頬を緩ませる。




「お前、文化祭のは……」



「抜けてきた。ずっとつかまってたし」



「そっかー、流架も不良の仲間入りだなー」



「えっ」





能力別クラスに行ってもヤル気が出ない。棗と璃音の所に来たら、2人とも凄く機嫌が良くてビックリした。





「そういえばここに来る途中、白崎とすれ違ったよ」



「…文化祭、あいつとまわる事になった」



「えっ?そうなの?」



「4人で仲良く回ろーなっ、俺何処行こうかなー!」






あいつといると、変われる気がする


Aを見てると心がホッとする


白崎の笑顔、可愛かったな





3人が揃った木の下では明るい話し声が展開され、その声はいつまでも途切れる事はなかった。

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未来(プロフ) - 唐瓜さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!私事ですが、更新が不定期になります。申し訳なく無いですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。応援の言葉を糧に頑張ってまいります! (2020年6月6日 13時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
唐瓜(プロフ) - 面白くて大好きになりました!!これからも応援しています (2020年5月27日 23時) (レス) id: 3816d577a0 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 楽しんでいただけているようで嬉しいです。これからも何卒、気長にお付き合いください^ ^ (2020年5月6日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 話読むごとに学園アリスのストーリー思い出して楽しませてもらいました…! (2020年5月6日 1時) (レス) id: 711d6ac2b7 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 応援ありがとうございます!これからどんどん更新していくので宜しくお願い致します。 (2020年4月24日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未来 | 作成日時:2020年4月24日 1時

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