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「鳴海先生ーっ!」
「蜜柑ちゃん♡」
目的の人物を見つけるなり蜜柑は駆け出した。
鳴海先生は甘い声で名前を呼んだ。
「じーちゃんに、
また手紙かいたのでよろしくっすー!!」
「あ──ハイハイ!分かったっすー♡」
ノリが軽い2人。蜜柑の変な語尾がうつってる先生は、笑顔で耳と目のシールが貼ってある手紙を受け取って、職員部屋へと消えていく。
蜜柑と蛍ちゃんに委員長、(ちょっと不満げな顔の)流架くんとあたしの5人で、先生の様子を物陰から覗いた。
先生が職員部屋に入った事を確認し終えると蛍ちゃんが用意したモニターに視線を向けた。
シール目とシール耳の機能で映される風景と音声。
聞こえてきたのは鳴海先生と副担任先生の声だった。
『ああ、鳴海先生。 また佐倉さんから手紙のことづけですか?』
『うん。彼女にとって、家族との唯一の交信手段だからね♡』
会話を見守る5人の姿は真剣そのもの。若干流架くんにやる気を感じられないのが伝わるけど。
蜜柑の顔色を窺って見ると、先生を信じているようだ。しかし、次の会話を聞いてそうもいかなくなった。
『どんな事情か、私には分かりませんけれど、 “無効化のアリス”ってだけで、この状況は…あの子が可哀想に思えて。
白崎さんも…今は所持していない“巻き戻しのアリス”が発覚したとき…上の人達は目の色を変えていました…』
『…まぁ、過去の事件のせいで“無効化”と“巻き戻し”は学園ではある意味、禁忌となっているからね。
Aちゃんが家族に手紙を書かない子で幸いだよ…』
『毎回、この手紙が焼かれるのを見る度、何も知らない佐倉さんが可哀想で…』
副担任の言葉の次に、ボッと画面に赤色が広がって。
火に包まれる音と共にそこで映像は途切れた。
…禁忌、?あたし達のアリスが…?それに何、さっきの会話…
当然の如く、訪れる沈黙。暫く雑音が響き、蛍ちゃんがその雑音を止めると同時に勢いよく立ちあがる蜜柑。
皆が心配して見上げるが、蜜柑は先程の言葉が頭の中でいっぱいだった。
───
「…蜜柑?」
───鳴海がお前の手紙を渡す日なんて……
「どこ行く気?」
───Aちゃんが家族に手紙を書かない子で幸いだよ…
「蜜柑!」
蛍ちゃんの制止も聞かずに蜜柑は職員部屋へ飛び出して行った。
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未来(プロフ) - 唐瓜さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!私事ですが、更新が不定期になります。申し訳なく無いですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。応援の言葉を糧に頑張ってまいります! (2020年6月6日 13時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
唐瓜(プロフ) - 面白くて大好きになりました!!これからも応援しています (2020年5月27日 23時) (レス) id: 3816d577a0 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 楽しんでいただけているようで嬉しいです。これからも何卒、気長にお付き合いください^ ^ (2020年5月6日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 話読むごとに学園アリスのストーリー思い出して楽しませてもらいました…! (2020年5月6日 1時) (レス) id: 711d6ac2b7 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 応援ありがとうございます!これからどんどん更新していくので宜しくお願い致します。 (2020年4月24日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2020年4月24日 1時