番外編 ページ19
再入学してから数日が経ったある日。
今日は家庭科の授業があった。
その授業に棗くんと流架くんが出席する事はない。でも何故か２人のようにサボり癖がある璃音くんはいた。
「ほらほらー、早く！」
「あっ、待ってよー！」
「先輩、私が作ったお菓子食べてくれるかなー？」
「ねー、わたしのと半分こにしよー」
「──はぁ…。どうしよう、余っちゃった…」
先生に｢お友達と交換しても良いですよ｣なんて言われたけど...結局渡せずじまいで余っちゃった。
味は美味しい自信はあるから、誰かに渡しても良かったんだけど。
“これだけ”は他の人に渡すなんてこと、できなくて。
「…早くしなきゃ、」
教室に忘れ物をして取りに来たまでは良かったけど。
どうしよう。まだ誰かいる。
音を立てずにこっそり物を取ろうと思ったのにその人が座っているのはあたしの席の隣。
あの男の子、棗くんだ。机に突っ伏してるから顔は見えないけど、あのサラサラの髪は絶対に棗くんだ。
「……あ、」
そっと机に近づいた。
棗くんの寝顔だ。睫毛長いな、肌も綺麗。
……って。あたし何してんの！？
これじゃあ、変な人になっちゃ…っ…
「…寝込み襲ってんじゃねえよ。変態女」
棗くんの目がパチリと開いた。
あたしの叫び声が教室中に響き渡る予定だったけど、棗くんの手によって口を塞がれた。
「…ご、ご、ごめんなさいっ、！
あたしっ、そんな、つもりは、なくてっ
あの、ごめんなさっ」
口から手が離れた瞬間、頭を思いっきり下げた。
何も反応を示さない棗くん。
や、やっぱり怒ってるよね…っ
でも、これだけは言いたい。
「……あたし、棗くんみたいに、変態、じゃないもん」
「……あ？」
「な、なんでも、ない、です」
「…お前、何しに来たんだよ」
棗くんに聞かれるなんて思ってなかったから、ガバッという音ともに顔を上げた。綺麗な棗くんの瞳とバッチリ目が合った。
「…わ、忘れ物して…神野先生が出した宿題やらなきゃいけないのに、ノート忘れちゃって、」
再びの沈黙。
誰もいない教室での沈黙はちょっとだけ辛い。
そろそろ帰ろう。このままだと本当に気まずいもん。
そう思って廊下に向かおうとした。
綺麗な紅があたしを照らした。
「……っ…」
見惚れてしまうほど綺麗な夕日。
棗くんの赤い瞳と夕日を、一緒に見てみたい。
気がついたら、廊下ではない方へ足を向けていた。
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未来(プロフ) - 唐瓜さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！私事ですが、更新が不定期になります。申し訳なく無いですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。応援の言葉を糧に頑張ってまいります！ (2020年6月6日 13時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
唐瓜(プロフ) - 面白くて大好きになりました！！これからも応援しています (2020年5月27日 23時) (レス) id: 3816d577a0 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 楽しんでいただけているようで嬉しいです。これからも何卒、気長にお付き合いください^ ^ (2020年5月6日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 話読むごとに学園アリスのストーリー思い出して楽しませてもらいました…！ (2020年5月6日 1時) (レス) id: 711d6ac2b7 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - はるかさん» 応援ありがとうございます！これからどんどん更新していくので宜しくお願い致します。 (2020年4月24日 14時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2020年4月24日 1時
