第一話 ページ1
控えめにノックをするが
部屋の中からは返事はない。
「入るぞ」
山崎宗介はゆっくりと扉を開き、部屋に入ると
窓際に備え付けられたベッドの上に
目的の彼女はいた。
(...寝てるのか)
宗介が思った通り、ベッドに近づき、覗き込むと
ベッドに横たわる彼女の目は閉じられていた。
栗色の髪が枕の上に広がり、
窓から差し込む日光に照らされていた。
「ん...」
ベッドの近くの椅子に腰掛けると
ギシッと音が響く。
それと同時にベッドの上の彼女が身動ぎし、
僅かに開かれた唇から微かに声が漏れる。
一瞬まずいと思ったが
直ぐに彼女は規則正しい寝息をする。
その穏やかな寝顔に
宗介は思わず頬が緩めたその時だった。
「...や......だ...」
途切れ途切れだったが、その声は
ハッキリと拒否の意思を示した。
薄い掛け布団にシワをつくり、
身体を小さく丸める(人1)。
「(人1)_____?」
宗介はベッドの上の彼女、(人1)の名前を呼ぶ。
「いや...いやっ...ごめんなっ...さ...」
穏やかだった表情は苦悶に満ちていた。
「(人1)、おい。(人1)!!」
苦しそうに顔を歪めるのを見かねて、
宗介は(人1)の名を呼ぶ。
「や...だ...おと...うさ...っ!!」
_____再婚相手が...な...
...トラウマになるような事をしたらしい
凛の言葉が脳裏を過り、
宗介は椅子から素早く立ち上がった。
「起きろッ!!!!
おい、起きろ(人1)!!」
宗介は(人1)の震える肩を掴み、肩を揺すった。
途端に青い瞳が姿を現すと、
ベッドから飛び起きるようにして
上半身を起こす(人1)。
「はっ...はあ...はあ...は...っ...」
「大丈夫か?(人1)。俺がわかるか?」
焦点が定まらない目を覗き込み、
宗介はそう問いかける。
「...そう...すけ...くん......?」
整わない息のまま、そう口にした。
宗介は背中を優しく撫でながら頷く。
「そうだ。
...大丈夫か?魘されてたぞ」
「魘され...て...た...
わ...たしが...」
ふらりと倒れ込む体を宗介は自分の身に寄せる。
「っと...辛いならもたれてろ」
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学(プロフ) - 柊さん» 柊さん。こんばんは。本作をご愛読して下さりありがとうございます。これからも頑張らせていただきますのでよろしくお願いします。 (2018年12月31日 18時) (レス) id: 4147e5a7e7 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 小説読みました!!! 面白かったです!更新頑張ってください!! (2018年12月31日 0時) (レス) id: 9cb1ed3aee (このIDを非表示/違反報告)
学(プロフ) - あーさんさん» あーさん。コメントありがとうございました。更新はお時間頂きますがお待ちいただけたら幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: 4147e5a7e7 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - 更新楽しみです (2018年12月2日 10時) (レス) id: cdc17806ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:学 | 作成日時:2018年11月17日 5時